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オートモビル カウンシル 2018

8/13(月) 0:00配信

Impress Watch

 オートモビル カウンシルは東京モーターショーともオートサロンとも違ったイベントで、テーマは“Classic meets Modern”だという。古く、しかし魅力的なクルマを紹介し、併せて最新のクルマに出会える場も作ろうというものだ。また、普段出会うことが少ない、いわゆるヘリテージカーの販売の場を設けているのも特徴で、チャンスがあれば珍しいクルマの購入も可能だ。

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 展示会場は幕張メッセ。コンパクトに展示会場4に集中しているので、他のモーターショーに比べて歩く距離は少なくて済む。また、どのイベントもプレスデーから混雑するのが通例だが、ゆっくりと観ることができる。

 プレスカンファレンスも他のイベントとは異なっており、マツダはデザイナーのトークイベント、トヨタ自動車はトヨタ博物館からの展示物とその時代背景のプレゼン、スバルはクルマ作りの姿勢を振り返った内容、アストンマーティンは「DBS スーパーレッジェーラ」のお披露目とレストア事業の紹介だった。

 これ以外のプレゼンはないので、いつものようにプレスカンファレンスを忙しく追っかけることもなく、プレゼン自体もユッタリとしている。

 展示されているクルマはどれも貴重なクルマばかりだ。工芸品としても価値あるもので、これをゆっくり眺めながら散策するのもよい時間だ。

 会場がオープンして最初に目に入ったのは、「ダットサン 1000」のラリー車。日産自動車のモータースポーツの原点である。この車両が参加したモービルガス・トライアルはオーストラリアを19日間かけて1万6000km、ほぼ1周する過酷なラリーで、後の「フェアレディZ」の生みの親、片山豊氏の発案で、これも後のNISMOの社長となった難波靖治氏監督のもと参加が決定して、2台が出走。ダットサンはクラス1位、4位の快挙を達成した。

 ラリー車となったダットサン 1000は全長3860mm、全幅1466mmの小さなボディ。2名のドライバーと1名のナビゲーターの3人が乗り込み、100Lの燃料タンク、リーフスプリングなどの重いスペアパーツ、インチとミリという2種類の工具などを満載した。エンジンはBMC譲りの1.0リッターOHV(だからインチ工具が必要だったそうです)。出力はわずか34PSで、ラリー車でも38PS程度だったらしい。基本的には標準品の精度を上げたもので、後の時代のようなチューニングは行なわれていない。シートも普通のセパレートシートだし、ロールバーもない。ほぼ1日1000km、19日間の過酷な中で、3人の男たちがいったいどんな会話を交わし、どれほどの忍耐を強いられたのか想像もできない。

 という話を、かつて日産OBで知る人ぞ知る日置さんや、日産OBで大学時代の旧友から丁寧に説明を受けて、1958年当時に思いを馳せた。展示されていた富士号は右フェンダーを大きく凹ませたままオリジナルをレストアしたもので、きちんと動く動態保存されているという。ここから日産のモータースポーツは始まったと思うと感慨深い。

 写真でダットサンの後ろにちょっと見える「MID4」は追浜のテストコースでハンドルを握ったことがあった。それ以前のプロトタイプよりもかなり改善していたが、やはり緊張させられた貴重なスーパーカーだったのを思い出した。

 ラリー車では、マツダスタンドにWRCに参戦していた「マツダ 323」(ファミリア)4WDが展示されていた。こちらは私にとってはぐんと身近になってきたが、それでも四半世紀前以上まで時代は遡る。展示車は1991年のモンテ車のようだが、このゼッケンは女性ドライバーが乗っていたようだ。

 A・ウォームボルト(バルンボルト)を代表兼エースドライバーとするマツダ・ラリーチーム・ヨーロッパが発足したのは1981年。1.6リッターターボからスタートしたファミリア 4WDは、排気量の大きなライバルに対して非力で苦戦していた。その後、1.8リッターまで拡大したが、1992年にその活動も幕を閉じた。ハンドリングで勝負できたWRCで3勝という実績を残している。

 ラリーつながりでは「アルピーヌ A110」が美しい。プラスチックボディ/リアエンジンのライトウェイトスポーツカーはヨーロッパを中心にラリーで暴れまわり、その後の時代を形成する多くのラリードライバーを育てた名車である。

 ついラリー車に目が行ってしまったが、もちろんそれだけではない。シトロエン DSは今見てもアバンギャルドな佇まいで見とれてしまう。今のPSAグループの中でDSはブランド名になったが、最近試乗会があった「DS 7 クロスバック」にも、そのインテリアデザインなどにDSの哲学が受け継がれているように思えた。

 知らないクルマもいくつか展示されていた。「ランチア フラミニア GT Touring 3C」。エンジンはV6/2.5リッターで大きなクーペだと思ったが、全幅は1660mmにすぎない。昔のクルマは小さかった。そういえばこのクルマ、子供のころ自動車のアルバムで見たような……。

 ピリッとしたスモールカー、アウトビアンキにもこんなクルマがあったんだというのも発見した。1964年製の「Bianchina」と言うらしい。

 この他にも盛りだくさんで、大好きなコルティナ ロータスもあって、最後はたくさんあるミニチュアカーを物色し、余韻に浸りながら、灼熱の東京で現実に戻ったのでした。

Car Watch,日下部保雄

最終更新:8/13(月) 0:00
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