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タイ洞窟の舞台裏「出ていけ!」厳戒の中、1千人の報道陣 「全員救出」に現場は…ダイバーが漏らした恐怖

8/16(木) 7:00配信

withnews

 タイの洞窟に閉じ込められた少年ら13人、無事に救出! 7月、このニュースが世界を駆け巡りました。初めはタイ国内のローカルニュースだったのが、最終的には世界中から1000人を越える取材陣が集まり、一喜一憂する騒ぎに。救出から1カ月。2週間以上にわたって現地で取材した舞台裏をお伝えします。(朝日新聞ヤンゴン支局長兼アジア総局員・染田屋竜太)

【動画】「全員救出!」その時、現場では……1千人の報道陣が詰めかけた現地で起きたこと

6月25日:現地で報道が過熱し始める

 私が最初に知ったのは6月25日午後。タイ人の同僚が「洞窟に子どもたち十数人が閉じ込められているとニュースになっている」と教えてくれました。2日前の23日に洞窟に入り、大雨の水で戻れなくなったというのです。

 タイのスコールは確かにすごい。バンコク中心部でも、ほんの数十分で路地が川のようになるのを見たことがあります。

 翌26日にテレビを見ると、タイの各局が特集を組んでいます。ニュース番組は少年らの集合写真をバックに、放送枠の7~8割の時間をこの話題に割いていました。私が特派員としてバンコクで仕事をするようになってから1年あまりで、ここまでの騒ぎはほとんど記憶にありません。

6月30日:まだ外国メディアは少ない

 別の取材を終え、30日朝に現地入りすると、制服を着た軍関係者や警察官、物資を運ぶボランティア、記者やカメラマンなど多くの人たちが行き来していました。テレビの中継車も数台ありました。

 洞窟の入り口前にはテレビカメラ20台ほどがずらり。多くはタイのローカルメディアでしたが、欧米からの出張組もちらほらといました。硬い表情の警察官が立ち、洞窟へのメディアの出入りは規制されています。

 すぐ近くには青いテントが並ぶ「メディアセンター」もできていました。タイ政府と地域政府が協力し、数日前に救助隊、メディア、ボランティアが活動できるテントを立ち上げたそうです。無料の炊き出しテントもできていました。

 閉じ込められた子どもたちの親や兄弟のテントもありました。中の人たちは深刻な表情で携帯を見たり、話したりしています。特に規制があるわけではありませんが、報道陣も気を遣い、遠巻きに様子をうかがっています。

 まずは軍、政府、県の職員など、現場で話を聴ける人に片っ端から状況について聞きました。ですが、「救助を全力で進めている」以上の答えは返ってきません。チェンライ県の知事らが原則1日2回、午前9時頃と午後5時頃に会見をするので、記事にはこれを盛り込みました。と言っても、どんな救助活動をしているのか、詳細は語られず。

 この時点で少年らはまだ「洞窟の中にいるとみられる」というだけで、発見の手がかりはありませんでした。6月中、この地域は雨が降り続き、どんどん洞窟の中に入り込んで、救助活動を難しくしているというのです。

 唯一、中の様子が具体的にわかるのは、定期的にタイ海軍がフェイスブックにアップする写真だけ。真っ暗な洞窟、狭い空間……。救助の難しさを感じました。

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最終更新:8/16(木) 10:44
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