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済美・矢野、史上初の逆転サヨナラ満弾!劇的タイブレークで星稜撃破/甲子園

8/13(月) 7:00配信

サンケイスポーツ

 第100回全国高校野球選手権大会第8日第3試合(星稜11-13x済美=延長十三回タイブレーク、12日、甲子園)第100回全国高校野球選手権大会第8日は12日、2回戦が行われ、済美(愛媛)が星稜(石川)に延長十三回タイブレークの末、13-11で逆転サヨナラ勝ちして3回戦に進んだ。今大会2度目のタイブレークにもつれ込んだ一戦は、9-11の十三回に済美・矢野功一郎内野手(3年)が大会史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打。100回の歴史で初となる劇的決着に、甲子園のスタンドが揺れた。

 タイブレーク方式に突入した延長十三回無死満塁。高校野球史に残る死闘に終止符を打つ矢野の打球は高々と舞い上がり、ファウルゾーンから舞い戻るように右翼ポールを直撃した。史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打。一瞬の静寂の後、球場全体が割れんばかりの歓声に包まれた。

 矢野はお立ち台でも興奮を抑えきれない様子で語った。

 「今も頭が真っ白です。本当に僕が打ったのか。今までで最高の一日になりました」

 高校では通算1本塁打(練習試合)の男が顔を紅潮させて振り返った。

 まさに勝利への執念が生んだ奇跡の逆転勝利だ。一回に5点を奪われ、五回までに6点をリードされたが、八回に政吉の3ランなどで一挙8点を奪って逆転。2点をリードした直後の九回に追いつかれ、延長戦へ。大会2度目のタイブレークに突入した延長十三回表には再び2点をリードされたが、最後まであきらめなかった。

 矢野は「自分は本塁打を打つタイプではない。つなごうと思っただけ。インコースの緩いカーブだったと思う。強く振ることだけを意識した」と振り返り「満塁本塁打もサヨナラ本塁打も初めて」と声を弾ませた。

 中矢太監督(44)は「苦しい試合になると思っていたが、こんな試合になるとは思っていなかった。びっくりした」と感無量の表情だった。「矢野も政吉も昨年からベンチ入りさせていたが、打球が飛ばない子だった。1年間、努力した成果が出た」とたたえた。

 星稜は、指揮官にとって因縁の相手だった。1992年夏の甲子園に明徳義塾(高知)の一員として出場。2回戦でのちに巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(44)を4番に擁したチームと対戦。5打席連続敬遠し、のちのちまで物議を醸した試合に三塁コーチとして出場していた。敵将の林和成監督(43)は2年生で遊撃を守っていた。前日、このときの経験を選手たちに伝えた。

 「勝つために最善の策を取る。必要なときは敬遠もある」と恩師、馬淵史郎監督(62)直伝の“秘策”を繰り出す覚悟を伝えていたが、選手たちは真っ向勝負。打ち勝って、大シーソーゲームを制して、中矢監督にとって因縁の相手を倒した。最後まであきらめることなく歴史的勝利。指揮官は、選手たちを誇らしげに見つめていた。