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トルコ通貨ショックの深刻度は?エルドアン政権がEUの生殺与奪を握る理由とは

8/13(月) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

海外では夏休み、国内では盆休みで市場参加者がとりわけ少なくなる時期だが、トルコリラ急落を受けた混乱が新興国のみならず先進国の市場にも影響を及ぼしており、この震度をどう評価するかが今年の盆休みの課題となりそうだ。

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トルコショックの背景を簡単におさらいした後、現在最も注目されている欧州金融機関への波及について数字をチェックし、最後に最も懸念されるべき欧州難民危機への影響を取り上げてみたい。

まず、現状に至るまでのトルコの近況を整理しておこう。そもそもトルコリラ相場が弱いこと自体にはさまざまな理由がある。中でも最も大きな理由として挙げられるのが強権的なエルドアン大統領の存在である。

リラ安の底流にあるもの

本来、通貨安経由のインフレ高進が懸念されるトルコでは、利上げにより通貨防衛が図られることが期待される。しかし、「利下げをすればインフレ状況も落ち着く」という奇異な主張を展開するエルドアン大統領が、公然とトルコ中銀の金融政策に介入して利上げを妨害するという異例の事態が今に至るまで続いている。

エルドアン大統領の存在がトルコリラ相場の重石であることは事実にせよ、それが8月10日に見られた急落の直接的な理由ではない。直接的な理由はトルコ政府によるアメリカ人牧師の拘束と、これに対するアメリカの報復制裁であった。具体的には8月10日、トランプ米大統領はトルコから輸入する鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を2倍に引き上げることを表明し、これがトルコリラ売りを加速させた。

トルコ当局は、2016年7月のクーデター未遂事件に係る容疑でアメリカ人牧師のアンドルー・ブランソン氏を2年にわたって拘束していた。この点、7月26日にはトランプ大統領が「アメリカは長期にわたるブランソン氏の拘束を理由に、トルコに対して大規模な制裁を科すつもりだ」と警告していた経緯があり、今回はその大規模な制裁が具現化された格好である。

とはいえ、周知の通り、米・トルコ関係は「イスラム国」(IS)掃討作戦時より方針の違いから元々一触即発の状況にあり、今回は貿易戦争という形で不仲が表面化したというようにも読める。

まとめると、そもそも芳しい状態ではない「エルドアン政権の経済政策運営」と「対米関係」がリラ安の底流にあり、今回は「追加関税の拡大」というアメリカによる具体的なアクションがリラ急落のトリガーを引いたという理解になる。

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最終更新:8/14(火) 12:40
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