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お盆だから知ってほしい「お墓」に込められた技と心

8/13(月) 10:00配信

CBCテレビ

ご先祖様を供養する、お盆。お墓参りを行い、墓石に向かって手を合わせる。その墓石には、実はさまざまな職人たちの技術と思いが込められている。8月12日(日)に放送した「ゲンバビト」(CBCテレビ製作/TBS系列28局ネット)では、普段目にすることのないお墓ができるまでのゲンバに密着した。

巨石を墓石に変える男

福島県・田村市。ここに、採石から販売まで一貫して手がける総合石材企業『株式会社フクイシ』の所有する採石場がある。日本で採れる石の種類は、およそ80。福島県は、そのうち20種類ほどが採石される一大産地だ。なかでも、ここでしか採れない石が、深山(みやま)ふぶき。格調高く、青みがかった表面をしている。石を切り出す方法の1つは、火薬で粉砕する発破。発破の後は切り出した石に穴を開け、そこにクサビを打ち込み真っ二つにしていく。その重さは約7t。それをトラックに積み込み出荷を行う。トラックも揺れるほどの巨石。この石が、これから墓石へと姿を変えていく。

お墓づくりのゲンバを統括するのは、工場長の斎藤善一さん。斎藤さんによると、墓石完成までの行程は大きく分けて4つ。その1つ目が『切る』行程。お墓は、石碑・上台・香炉など、いくつかのパーツに分かれている。そのため、まずはそれぞれの大きさに、石を切り分けなければならない。使うのは、直径2.6mほどの巨大な切削機。固い石を切るため、先端にはダイヤモンドのチップが付いている。石が焼けないよう常に水を噴射しながら、大きな歯が回転して石を切っていく。かかる時間は、およそ2時間。
「石に限りはあるが良いものしか出せない。テトリスと同じで、上手く組めば、効率よく採れる」

2つ目は『削る』行程。お墓には、なめらかなカーブがよく使われている。そのカーブを作るために、まず機械で石に段差を作り、そこをグラインダーで削っていく。角が少しでも欠けてしまうと製品にならないため、繊細な作業が必要だ。しばらくすると、見事な職人技によって鋭かった角に美しいカーブが生まれた。

3つ目の行程は『磨き』。表面の美しいツヤは、良いお墓の条件。これを生み出すのが、キャリア20年以上の横田さん。『エアポリッシャー』という研磨機を使って、お線香を立てる香炉を磨きあげていく。
「(磨きで)仕上がりが決まる」
ひと通り磨いたら、エアーで瞬時に乾かし表面の凹凸をチェック。
「くすんでいるところをもう一回磨く」
そう言って、ヤスリの目を変えながら、納得いくまで何度も磨きの作業を繰り返していく横田さん。妥協のない作業で、ついに墓石のベースが完成。表面には、鏡のように美しいツヤが生まれていた。

最後は、お墓に文字を刻む『文字彫り』の行程。フクイシの工房『ファントーニ石掘工房 匠の森』で、その作業を拝見した。まずは、彫る文字をゴムシートに印刷。それを墓石に貼り、文字の部分を切り抜く。文字を彫るため使うのは、ホースの先に細いノズルがついた機械。刃で文字を彫るのではなく、『鉄砂(てっしゃ)』と呼ばれる砂の粒をノズルから高圧で噴射して削っていくのだそう。粒が飛び散らないように、まずは石を大きな箱状の機械の中へ。箱には穴が空いており、その中に手を入れて作業を行う。作業するのは、この道18年の柳沼さん。小さな窓をのぞきながら、文字をなぞるように鉄砂を当てていく。
「失敗はできないので、緊張感を持って彫りますね」
しばらくすると、徐々に表面に凹凸ができてきた。開始から30分で、1文字目が完成。その後も慎重な作業を繰り返して全ての文字を彫り終えた。見事な仕上がり。完成した文字をよく見ると、書道のトメやハネの筆圧までもが異なる彫りの深さで表現されていた。

そして、完成したお墓の検品。最終チェックは、工場長・斎藤さんの仕事だ。
「加工指示どおり製品が仕上がっているか、欠けがないかをチェックして出します」
こうして、山から切り出した巨大な石が、さまざまな職人の手を渡り、美しい墓石へと姿を変えた。お墓づくりのゲンバ。そこには、1つのお墓のために、磨き抜いた技を尽くす職人たちの姿があった。

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最終更新:8/13(月) 10:00
CBCテレビ

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