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ラジオの生放送に遅刻した!~元たま・石川浩司の「初めての体験」

8/13(月) 0:10配信

DANRO

まさか、あんなことが起こるとは。

朝、6時半。迎えの黒塗りのハイヤー(タクシーじゃないからね。ハイヤーだかんね)が僕の家に横付けされる。うやうやしく運転手さんがドアを開けて待っている。

「ふむ。よろしい」

僕はシルクハットと燕尾(えんび)服に身を包み、葉巻をふかしながらそれに乗り込んだ。

というのはもちろん嘘だが、ハイヤーは本当。その日は朝8時頃より文化放送にて、ラジオのゲスト出演があったのだ。朝が早いため、放送局が差し向けてくれたハイヤーに乗っていくのだ。(石川浩司)

迎えのハイヤーがきた時、「1時間半しかないけど、大丈夫かな」と思ったのだが、僕は免許を持っておらず車に乗らないので、早朝の時間帯の混み具合がわからなかった。ここは埼玉県だが、確かに深夜だと1時間もかからないので、まぁ運転手さんに任せておけばいいのだろう。

霜の降りた畑を横目に、まだ明け切らぬ景色の中、車は順調に進んでいく。高速道路に入り、都心へと向かっていく。7時をまわり、一緒に乗っているマネージャーが言う。

「まぁ、7時半くらいから軽く打ち合わせして、8時過ぎの出演です」

持ってきた朝刊のラジオ欄を見ると「小西克哉のなんだ?なんだ? ゲスト たま石川浩司」とはっきり書かれている。その時運転手さんがつぶやいた。

「あれっ? 7時半なんですか? ・・・10分ぐらい遅れるかもしれません」

どうやら運転手さんは、番組のことはハッキリ知らないような口ぶりだった。ちょっと「?」と思ったが、誰が指示を出しているのかも知らなかったので、黙っていた。

「あぁ、いいですよ。打ち合わせと言ったって、告知関係の確認だけだから。5分もあればできますから」とマネージャー。

予想外の大渋滞

高速の出口で軽い渋滞が始まっていた。運転手さんに言って、ラジオをつけてもらう。番組自体は、もう7時から始まっているのだ。軽快なBGMにのって、キャスターの小西さんの声が流れている。「もうしばらくしたら、ここに僕がいるのかー」。とその時・・・。

「あれっ」

運転手さんのつぶやくような声が聞こえた。パッと見ると、都心への渋滞が予想以上につながっているのが見える。本当は、7時半くらいに別のコーナーが挟まるので、その間に打ち合わせをしようと思っていたのだ。

「まぁ、念のために電話で先に打ち合わせだけ済ませておくわ」

関西弁のマネージャーが、携帯電話でやりとりする。

「はいっ、いま少し遅れてまして。えー、この間そちらからきた番組進行表の『たまの紹介』の中で、少し変えてほしいところがありまして。えーと、『15年前、たまが結成された。ランニング姿の石川、おかっぱ頭の知久、風紀委員の滝本』とありますが・・・」

「えー、確かに滝本は高校時代、風紀委員をやっていたことがあるらしいのですが、そんなことは他のメンバーも今回初めて聞いた、ということで・・・えっと、サラリーマンをしていた滝本、という風に紹介してもらえれば・・・」

などと言っているうちに、高速の料金所で、車はほとんど動かなくなってしまった。時間は7時半。僕は車に乗らないし、マネージャーも関西人なので、都内の道路事情にうとい。なので、いまどこにいて、文化放送のある四谷までどのくらいの距離があるものなのか、ほとんどわからなかった。ただ、生真面目そうな運転手さんが「あぁ」とか呻(うめ)きだしているのが、ちょっと気になった。

「ここはどのあたりなんですか?」

高速は防音壁があるので、外の景色がほとんど見えない。

「・・・板橋です」

「えっ!?」

板橋といえば、道路事情は知らなくても、確か池袋より北西のはず。四谷まで、5分やそこらで着く距離じゃないことは僕でもわかる。

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最終更新:8/13(月) 0:10
DANRO