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【甲子園】敵勢にのまれた慶応ナイン 大舞台こその宿題

8/13(月) 8:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 最も警戒していた高知商の勢いに、慶応ナインは飲み込まれた。

 1点リードの二回だ。四球を機に暴投、捕逸、3失策とミスが連鎖し、4長短打で重すぎる7点を失った。「打ち勝つ野球」を掲げ高知県大会決勝で強豪・明徳義塾を相手に10得点、甲子園初戦で14得点と勢いづく高知商を、乗せてしまった。

 「ミスをしても勝つ」のが慶応の強みだったが、遊撃宮尾は「やることをやったつもりでも、何かいつもと違うものを感じていた」とナインの動きは硬かった。エース生井は四回にもさらに4点を与えて計12失点。完敗だった。

 嫌な流れは、一度は逆転した初回の攻撃にあった。先頭宮尾から死球を挟んで5連打を放ったものの、二走が本塁突入で2度も憤死した。三塁コーチャー田邊は「2、3点の試合になるとは思わなかったので、取れるときにとっておこうと腕を回した。ただ、今振り返れば焦りがあったのかも」と悔やむ。

 成功すれば展開は逆になった可能性はあるが、結果的には直後に大量失点。守備と攻撃の流れは連動するという定説を、甲子園の大舞台で証明してしまった。

 就任3年目の森林貴彦監督(45)の下、春は9年ぶり、夏は10年ぶりの甲子園に出て、念願の勝利も挙げた。指揮官は「慶応の歴史に新たな一歩を刻んでくれた」と選手をたたえる一方で、「甲子園に来ないともらえない、宿題を与えられた」と総括した。

 エンジョイ・ベースボールの新時代を切り開いた1年を振り返り、主将の下山は言った。「苦しんで苦しんで、そのたびに明るく乗り越えて、ここまで来られた」。大きな財産と、貴重な宿題を手にした夏だった。

◆主将・下山が万感の2ラン

 慶応の主将下山が2ランを含む3安打と最後まで戦う姿勢を示し続けた。五回1死一塁、変化球を完璧に捉え右翼席へ運んだ。「納得するまで努力してきたので、思い切り振ろうと思った」。意地の一打にアルプス席は奇跡の逆転を期待した。

 右膝の大けがで長期離脱するなど、苦労の多かった3年間。泣き崩れるキャプテンを誰もが「お前のおかげだ」とねぎらった。「僕らは甲子園には来たけど1勝しかしていない。後輩には自分たちでやりたいようにやりきってほしい」と思いを託した。