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星稜「これも野球これも甲子園」悲劇のサヨナラ負け

8/13(月) 8:01配信

日刊スポーツ

<全国高校野球選手権:済美13-11星稜>◇12日◇2回戦

 星稜(石川)が、悲運の敗者となった。8回まで6点リードも、その裏に8失点。9回に2点差を追いつく意地を見せたが、延長タイブレークの末、13回に逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた。先発の奥川恭伸投手(2年)をはじめ、4番手の竹谷理央外野手(3年)らが足をつらせるなど想定外の不運が続き、劇的な幕切れで甲子園を去った。林和成監督(43)は「これも野球ですし、これも甲子園です」と声を振り絞った。

 星稜の結末は突然訪れた。延長タイブレーク13回裏。無死満塁から済美の1番矢野が放った打球は、右翼ポール際へ高く飛んだ。投手の寺沢は「切れろ、切れろ」と願った。捕手の山瀬は「あ、切れるな」と行方を追った。願いむなしく、白球は風に乗って方向を変えた。ポールを直撃しスタンドへ。一瞬の静寂は大歓声に変わった。

 初回に5点を奪う有利な展開の裏で、想定外の事態が続いていた。先発の奥川が足をつり4回で降板。4番手の主将竹谷は「3球目を投げた時に、ふくらはぎが両方つった。力が入らなかった」と投球練習中にアクシデントが起きた。遊撃の内山も足をつり9回で交代。林監督は「今まで1人たりとも、つったことがなかったので、消耗戦の中で予想外のことでした」。一丸で危機を乗り越え、勝利をつかもうとしていた。

 5番手の1年生・寺西が8回に逆転3ランを浴びても、直後に3連打から同点に追いついた。延長タイブレーク13回は2点をもぎ取った。「新チーム当初は100回大会を狙えるチームになると思わなかった。これだけの試合ができました」。林監督就任以来「最弱」と呼ばれた世代が、聖地で最高の試合を見せた。

 開幕戦が終わった後、林監督はナインをある場所へ連れて行った。「高校野球の名付けの親」中馬庚氏が眠る墓と、大阪・豊中にある「高校野球発祥の地」の記念碑。「先代から築いてもらった素晴らしい高校野球の歴史がある。継承していかないといけない」と歴史を知ってほしい思いからだった。あと少し風が弱ければ、勝敗は変わったかもしれない。林監督は「これも野球ですし、これも甲子園です。最後は勝負のあやです」と話した。この日の戦いも、きっと語り継がれていく。【磯綾乃】

 ◆タイブレーク 延長戦で人為的に走者を置く特別ルール。高校野球の全国大会では今年のセンバツから採用され、今大会1回戦の佐久長聖-旭川大高戦で初めて実施。佐久長聖が延長14回5-4で勝った。延長13回以降の攻撃を無死一、二塁から始める。打順は12回終了時から継続。決着まで続ける。投手成績は規定で出塁した2走者を自責点としない。打撃成績は規定で出塁した2走者の出塁記録をないものとするが、盗塁、打点などは記録。決勝では採用せず、決勝の延長戦は15回で打ち切り再試合。

最終更新:8/14(火) 10:03
日刊スポーツ