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米地上職員による死のフライト-浮き彫りになった疑問点、警備の隙

8/13(月) 7:02配信

Bloomberg

無人の民間航空機のコックピット内に足を踏み入れる。これでもう、操縦席は自分のものだ。エンジンを始動し、離陸させるのに鍵や特別の暗証コードは不要。小型のリージョナルジェット機でも、総2階建ての大型機エアバス「A380」でもその点は変わらない。

米ワシントン州のシアトル・タコマ国際空港で10日夜、航空会社の従業員が76人乗りのターボプロップ機を盗んで操縦し、付近の島に墜落した件を受けて、航空警備体制に新たな疑問が生じている。駐機中の航空機を使って逃亡するために乗り越えるべき警備上の壁は基本的に2つしかない。一般の利用客が立ち入ることのできないエリアに入ることと、航空機の操縦に必要な知識を持っていることだ。

ボンバルディア「Q400」を無断で操縦し、墜落したアラスカ航空グループのホライゾン航空の従業員にとって最初のハードルは容易に越えられた。同グループのブラッド・ティルデン最高経営責任者(CEO)によると、この従業員は地上サービス担当として同機が駐機していた整備区域に入ることができた。

ティルデンCEOは11日の記者会見で、「当社は空港で警備体制を取っており、従業員は空港で勤務する資格を有し、その権限を与えられている」と発言。現行の手順にどういった変更が必要となり得るかを話すのは時期尚早だとも語った。地元保安官によると、この男性従業員は29歳で、死亡が確認されており、他に負傷者などはいない。

専門家らが指摘する疑問点は、パイロットではなかったこの男が現代的で複雑な航空機の始動や地上走行、飛行の方法をどのようにして知ったのかということだ。また、もしこの男の意図が自分自身だけでなく他の人を死傷させることだったら、どうだったかという点も指摘されている。2001年の米同時多発テロ以降、航空会社の乗客や従業員に対するセキュリティーチェックは厳しくなったが、航空機自体のセキュリティーはどれほど改善したのかという問題も浮かび上がった。

元USエアウェイズのパイロットで、現在はコンサルティング会社セーフティー・オペレーティング・システムズの社長を務めるジョン・コックス氏は「航空会社の従業員として、この男性は資格を得る前に入念な検査や身元・素行などの審査を受けている」と述べた。

原題:Alaska Air Suicide Flight Highlights Gaps in Airport Security(抜粋)

Justin Bachman

最終更新:8/13(月) 7:02
Bloomberg