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【平成家族】官僚の地位捨て彼女の元へ・仕事を優先「週末婚」夫にプレゼン 多様な価値観、働き方にも

8/15(水) 12:05配信

朝日新聞デジタル

「ずっと仕事」がアイデンティティーだった

 北島さんが厚労省に入ったのは、祖母の認知症がきっかけです。

 「高齢者が健康で長生きできるような、介護予防の枠組みづくりをしたい。そのためには国の行政しかないと思いました」

 2008年に入省し、最初の配属で、介護保険の予算部門を担当。2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法では、担当係長として法律がしっかりと運用されているかを全国に目配せするなど、順調にキャリアを積んでいました。

 「入省当時はずっと仕事をしていることが自分のアイデンティティーと感じる部分があり、何より仕事が大事だと思っていました」と振り返る北島さん。

 係長に昇進すると、政策の企画など出来ることが多くなり、有識者や政治家にも自分の提案を説明できる機会が増え、仕事のやりがいはとても感じていました。

「国や東京がすべて」ではない

 一方、札幌市への出向を通じて「国や東京がすべて」という考え方は変わりました。

 「生活保護のケースワーカーなどで現場に入り、福祉制度は地域のニーズに応えていくことで成り立っていくものだと改めて感じました。同時に、東京では、何でも都市部に合わせて制度を作り、それを地方に押しつけていたことに気がついたんです」

 さらに札幌での生活は、仕事以外の楽しみも見つける機会にもなりました。

 「彼女と出会ったこともそうですが、仲間と登山をしたり、スノーボードをしたり。人生は仕事だけではないと少しずつ感じるようになりました」

 30代半ばにさしかかって、「今のままで人生の最期を迎えることが幸せなのか」と考えるようになった北島さん。

 「仕事あっての私生活という気持ちは変わりませんし、公務員として福祉行政に関わることにも誇りを持っています。ただ、厚労省である必要が本当にあるのか。立ち止まって考えてみた時に、そこまでのこだわりはありませんでした」

 「彼女と一緒に過ごしたり、自分のために使える時間を増やしたりする方が幸せにつながると思ったんです」

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