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闇に葬られた事実とは  沖縄戦から学ぶ教訓 ドキュメンタリー映画 「沖縄スパイ戦史」

8/15(水) 19:18配信

カナロコ by 神奈川新聞

 沖縄戦の知られざる一面に光を当てたドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」が11日から、横浜のシネマ・ジャック&ベティで公開される。「沖縄で起きた悲劇の構造を分析しなければ、同じことがまた繰り返される」。カメラを回した2人の監督に聞いた。

 県民の4人に1人が亡くなったといわれる沖縄戦。激しい戦闘が行われた南部では、米軍の砲弾が陸海空から大嵐のように降り注ぎ、中高生たちで結成された「ひめゆり学徒隊」「鉄血勤皇隊」の悲劇は人々の記憶に刻まれている。

 一方、北部では、防諜(ぼうちょう)活動を教育、訓練していた「陸軍中野学校」のエリート青年将校らが、10代の少年を集めてゲリラ兵部隊「護郷隊(ごきょうたい)」を組織した。少年兵らは、橋の爆破や米軍への奇襲攻撃を命令されていた。

 今作は、護郷隊の内部で何があったのかを、元少年兵らに取材を重ね、証言を記録した。戦死したとされる少年が精神を病んだという理由で軍医に射殺されていたり、スパイ容疑をかけられ暗殺されていたりと、闇に葬られていた事実を伝える。

 ほかにも、陸軍中野学校の工作員が、波照間島の島民を無理やりマラリアがはびこる別の島に疎開させ、約500人が亡くなった「戦争マラリア」と呼ばれる悲劇や、ほかの地域でも住民同士がスパイの疑いをかけ虐殺が行われた歴史も取材した。

 琉球朝日放送の元アナウンサーで、ドキュメンタリー映画「標的の村」で知られるジャーナリストの三上智恵監督は、「激しい銃撃戦が戦争のイメージだけれど、軍隊が駐留した時点で秘密戦は始まるし、集落の雰囲気も変わる。利己的な心や疑心暗鬼など、普通の社会にあるマイナスの感情が軍国主義と結びついて、ものすごい悲劇が生まれる」と語る。

 戦争マラリアを大学院時代に研究していた若手ジャーナリストで、共同監督の大矢英代は「『戦争ってダメだよね』、だけでは教訓は伝わらない」と語気を強める。

 大矢は言う。「過去のシステムを学べば軍隊は国民を守らず、守るのは国の体制だと分かるはず。今の自衛隊法や特定秘密保護法にも、その一片が見えるからこそ、沖縄戦の教訓を私たちは学ぶべきです」