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日本でサマータイムが絶対に導入されない理由。2020年東京オリンピック問題

8/16(木) 12:29配信

Engadget 日本版

まさか「サマータイム」なんて言葉が、ここに来てバズワードになるなんて、誰が想像したでしょうか? 先週から、サマータイム導入検討というニュースに、あちこちで拒絶反応が出ています。

サマータイムギャラリー

先に結論から書いておきましょう。

様々な人が、「日本でのサマータイムは施行されるべきではない」とコラムを書いています。まったくその通りで、本来ならば議論の余地さえありません。

しかし、中には「もしかすると施行される可能性もあるのかも? だって政府が検討していると言っているし」と思っている人もいるかもしれません。断言しますが、検討はされるけれど、実際に施行されることはありません。

色々な意味で、サマータイムの導入は極めて非合理な上、効果がほとんど期待できません。もし本当に施行へと向かったら、現政権はおろか自民党全体への信頼も大きく損なうことになるためです。

実は昔、日本にもサマータイムが存在した

2018年8月7日に政府が「サマータイムを検討する」としたのは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が首相官邸を訪れて安倍首相と会談し、大会期間中の暑さ対策として、サマータイム(夏時間)の導入を検討するよう申し入れたからです。

ここで注意したいのは、安倍首相が検討を指示したのは、自らが総裁を務める「自民党に対して」です。首相として「政府関係機関に指示をした」わけではありません。こういうところから「検討する」ことの本気度を感じ取る必要があろうかと思います。

まぁ、簡単に言えば元首相でもある森さんがお願いに来たので、むげに断るわけにもいかず、しかたなく検討することにした......といったところでしょう。

実はこれまでに何度も検討され、結局はお蔵入りになった案です。「オリンピックのために導入」なんて、末代まで語られるような愚行をしたい政治家はいないと思います。

サマータイム導入に関しては、東日本大震災直後に夏期の冷房電力削減効果を期待した導入議論があったものの、最終的には見送られました。サマータイムによる省電力効果はもちろんありますが、さして大きくもない効果に対し、導入するまでの障壁が大きかったためです。

さらに遡ると、第二次世界大戦後には何度もサマータイム導入の議論がなされているだけでなく、終戦直後に実際に導入されたこともあり、そこで明確にデメリットの方が大きいという結論が出ています。

導入当時の結果は散々なもので、国民の生活が混乱しただけでなく(労働開始時間が早まったことで)労働時間が長くなって疲弊し、むしろ効率を落としたなんて話もあります。戦後すぐのタイミングに「日本でサマータイムって、無理というか意味ないんじゃね?」という結論が出ていたわけです。

もともとサマータイムとは、夏と冬の日照時間が大きく変化する高緯度の国において、夏の長い日照時間を有効に使うために考えられたものです。

サマータイムが日本の導入された際にも「国民が日照を浴びる時間」について議論され、利があるのではないかと導入されました。しかし、日本の日照時間変動程度では、導入の必要性よりも弊害が大きかったということですね。

そんなわけで、大昔のこととはいえ、サマータイムを導入したことが過去にあり、大失敗している案ですから、政府がサマータイムの導入を積極的に進めることに合理性はない、と断言できます。政府側が発信しているステートメントでは、「国民の日常生活に影響が生じるものであり、大会までの期間があと2年と限られている」(菅 義偉官房長官)とされています。

自民党内では、サマータイム賛成派が法案を作成し、議員立法を目指すようですが、最終的に国会に提出されることがあったとしても、成立はしないでしょう。議会で多数を占める自民党とはいえ、党内には慎重派(事実上の反対派)が数多くいるからです。

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最終更新:8/16(木) 12:41
Engadget 日本版

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