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米フロリダで赤潮「過去10年で最悪」、海洋生物が大量死

8/17(金) 13:43配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【8月17日 AFP】過去10年で最悪規模の赤潮が発生している米フロリダ州では、イルカ、ウミガメ、魚といった海洋生物が、どす黒く変色した海水の中で次々と死に追いやられている。この事態を受けて同州はこのほど、非常事態を宣言した。

 フロリダ南西海岸沿いにある観光エリアでは、今月だけで100トンを超える海洋生物の死骸が回収された。周囲には悪臭が漂い、近隣の浜辺には誰もいない。

 同州サラソタ(Sarasota)郡の海岸ではこの1週間だけで12頭のイルカの死骸が打ち上げられた。これは通常1年間に確認される死骸の数に相当する。

 サラソタにあるモート海洋研究所(Mote Marine Laboratory)のグレッチェン・ラブウェル(Gretchen Lovewell)氏は、「これは心身ともに疲弊する作業だ」と話し、同僚2人と共に「文字通り昼夜を問わず作業している」とその状況を説明した。ラブウェル氏はウミガメや海洋哺乳類の死骸や弱った個体を回収する基幹要員を務めている。

 ラブウェル氏は12日、米国内トップクラスのビーチの一つ、シエスタ・キー(Siesta Key)の砂浜の近くで、腐敗しているイルカの死骸を回収した。イルカの背びれには「252」という凍結烙印(らくいん)の番号がうっすらと確認できた。

 それは「スペック」と名付けられた12歳の雄イルカだった。サラソタ湾(Sarasota Bay)に生息する数世代のバンドウイルカを観察している研究者らはそれまでスペックを300回以上確認していた。

 シカゴ動物学協会 (Chicago Zoological Society)が1970年から継続して実施している野生イルカ個体群の世界規模の長期調査「サラソタ・イルカ研究プログラム(Sarasota Dolphin Research Program)」を統括するランドール・ウェルズ(Randall Wells)氏は「衝撃的な出来事だった」とスペックの死について話す。

 ウェルズ氏が広げた地図には、研究者らが長年の調査でスペックを確認してきた場所が示されていた。スペックは同氏自宅のすぐ近くの海域まで泳いでくることも多かった。

 16歳でイルカの研究を始めたというウェルズ氏は、「スペックは、生まれた時から知っている大切な個体だった」「その名前は私の父親にちなんで名付けられた」とAFPの取材に語った。

■赤潮が死因に?

 スペックの死因については、今後数週間以内に出される見通しとなっている研究所での検査結果を待たないと、確実なことは何も分からない。現時点では赤潮が原因で死んだと推測されている。

 ここでの赤潮は、米メキシコ湾(Gulf of Mexico)に生息する単細胞微生物「カレニア・ブレビス(Karenia brevis)」によって引き起こされる。この微生物は強力な神経毒を放出し、その毒素が風にのって運ばれると、人体へも影響を及ぼし、頭痛、涙目、せき、ぜんそく発作といった症状が出る。

 カレニア・ブレビスは年間を通して低濃度で存在している。だが、ひとたび増殖すると、ウミガメやマナティーがこれを吸入したり、神経毒が蓄積した魚や海草を大量に食べたりして、死ぬ恐れがある。神経毒は、方向感覚の喪失、協調運動障害、異常行動などの症状を引き起こす。

 フロリダで現在起きている赤潮の大量発生は2017年10月に始まったが、最近の数週間で大幅に悪化した。

 赤潮は時に拡大したり衰退したりしながら、フロリダ州タンパ(Tampa)からネイプルズ(Naples)まで320キロ近くにわたる海岸に押し寄せた。

 同海域では、産業化した農業や不適切な廃水処理が有毒な藍藻(シアノバクテリア)の増殖を助長していると考えられており、別の大きな問題となっているが、これと同じことが赤潮にも当てはまるかもしれないと、専門家らは指摘している。

■観光業に打撃

 腐敗が進む魚の悪臭は、フロリダの経済にボディーブローのように影響しており、最盛期の観光業や漁業から数百万ドル(数億円)に及ぶ収入を徐々に奪っている。

 そのため地域住民らは、エバーグレーズ(Everglades)大湿地帯を通って南へ向かう水流を回復させる、海を汚す物質を沿岸に至る前に浸出させるための内陸の貯水池を建造する、化学肥料の使用量を減らすといった対策の実現に向けて、議員や政府当局者が動くことに期待を寄せている。

 しかし現状では、赤潮の大発生には終わりが見えていないという。

 映像は、14日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:8/17(金) 14:37
AFPBB News

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