ここから本文です

漫画『NARUTO』で将棋を知ったポーランドの少女は、史上初の外国人女流棋士になった。

8/18(土) 13:29配信

ハフポスト日本版

「あれは、特別な対局でした」

史上初めて外国人で将棋のプロとなったカロリーナ・ステチェンスカ女流1級(27)は、感慨深げに“ある対局“を思い出す。

2017年1月19日、東京・千駄ケ谷の将棋会館では、女流棋士の頂点を決めるタイトル戦「女流名人戦」の予選が行われていた。

先手はステチェンスカ1級。迎え撃つのは、女流タイトル通算43期を誇る“レジェンド“、清水市代・女流六段だ。

結果は149手でステチェンスカ1級が勝利。外国出身者が“レジェンド“清水女流六段を真剣勝負で破った。

師匠の片上大輔七段は「この棋譜を埋もれさせるわけにはいかない」と称えた。将棋界の歴史の1ページに刻まれる対局だった。

故郷を離れて約5年。ポーランド生まれの彼女は、なぜ将棋に魅了されたのか。外国人の女流棋士として実現したい夢とは? これまでの歩みを聞いた。【吉川慧/ハフポスト日本版】

きっかけは漫画『NARUTO‐ナルト‐』だった

カロリーナ・ステチェンスカさん提供
カロリーナ・ステチェンスカは1991年6月17日、ポーランドの首都ワルシャワで生まれた。ソ連崩壊の直前、ポーランドが民主化の道を歩みはじめた頃だった。

母はコンピューターのプログラムのテスター。父はコンピューターのパーツ販売、ワインの販売、クリーニング事業などに従事。どちらも多才な人だという。

将棋に興味を持ったきっかけは、ポーランドで人気を博していた日本の漫画『NARUTO‐ナルト‐』だった。

「当時16歳でした。奈良シカマルの将棋のお話がありました。漫画のポーランド語版では「ジャパニーズ・チェス」と書いてありました」

「チェスは祖父や父から教わっていたので知っていたのですが、漫画ではクイーンがいなかった。なんでクイーンがいないのかな。どんなゲームなのかな。疑問に思って、本来の将棋のルールを調べました」

「調べてみたら、チェスと違って持ち駒(相手から取った駒)を使えることがわかりました。ゲームがダイナミックになって、面白いと思いました」

当時まだ海外では、将棋の駒や盤が手に入りにくかったという。はじめは将棋の駒のイラストを印刷した紙で、駒を作った。

インターネットの将棋サイト「81Dojo」でも将棋を指し始めた。次第に、将棋の世界へのめり込んでいった。

1/5ページ