ここから本文です

「境界線を超えているかも」――。ナレーター窪田等と「情熱大陸」の20年

8/19(日) 10:00配信

BuzzFeed Japan

静かな録音ブース。男が声を吹き込むことで、情熱は完成する。ナレーター窪田等。1998年から続くドキュメンタリー番組「情熱大陸」でナレーションを務めてきた。「最初はオープニングの曲も違ったんですよ。葉加瀬太郎さんになってからノリのいい曲に変わったねと言われてね」。番組当初、女性ナレーターと週替わりに担当していた時期もあったが、20年の間「情熱大陸」に関わり続けた人間は窪田ただ一人だけだ。
【BuzzFeed Japan / 徳重辰典】

起用のきっかけは窪田がオープニングナレーションを務めた「F1グランプリ」だった。窪田の声を聞いたF1好きの初代プロデューサー河村盛文が「一緒に仕事がしたい」と「情熱大陸」の話が舞い込んだ。

「とにかくドキュメンタリー。一人の人、普通の、一生懸命な人を追いかける番組だからと言われて。説明はそのくらい。ナレーション収録って最初に綿密な打ち合わせがあるとかではないんですよ」

初回で取り上げたのはプロゴルファーの丸山茂樹。当初は2年で100人を取り上げると聞いていたが、番組は今年4月で20年。密着取材した人物は述べ1000人を超えた。

「毎回取り上げる人も違うし、ディレクターも違う。だから、いつも新鮮。20年やってきたという意識はないです。毎週楽しみながら、収録現場に向かってます」

取材中、窪田は何度も「飽きない」と繰り返した。

印象に残った回について聞くと、2017年のクリスマス直前に放送した、中継先から生でナレーションを読んだ回を挙げた。

「最後にしゃべることがなくなってしまって、時間が余っちゃった。音楽が流れたあとで、しゃべらないと無音で10秒。それはまずい。困ったな、言っちまえとアドリブで『メリークリスマス』と言って。うまくいってよかったです」。

2010年1月17日に放送された画家の石井一男を取り上げた回も胸に残っている。

「録り終わった後、ディレクターから『窪田さん、あそこ変更してください』と言われて。石井さんが影絵で遊ぶシーンで『石井は影絵で遊んでいた』というナレーションだったんです。それでもいいじゃないですか。でも『遊んでいた』だけにしてくれと。ナレーションで説明してしまうより、ひと言。言葉を削ると情景が引き立つ」

足すではなく、減らす作業。ナレーションを入れるために消されていた映像の笑い声を活かしたいからと、窪田自らコメントを削るよう提案したこともある。

1/4ページ

最終更新:8/19(日) 10:00
BuzzFeed Japan