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「訓練は同期と助け合い」JAL、中高生向け空のお仕事教室

8/20(月) 23:36配信

Aviation Wire

 都内などでは夏休みが終盤に入った8月20日、日本航空(JAL/JL、9201)は中高生を対象にした航空教室「空の仕事を知ろう!」を開いた。JALの現役パイロットや客室乗務員、整備士、地上係員に、中高生がインタビューするイベントで、会場となった東京・天王洲の本社にあるウイングホールには、約150人が集まった。

 インタビューはグループ形式で行われ、JALの社員が仕事内容を説明した後、生徒からの質問に応じた。4つの職種ごとに分かれた生徒たちは、25分ずつ各職種をまわり、仕事のやりがいや、受験対策などを熱心に聞いていた。

◆同期で助け合う訓練

 787乗員部副操縦士の池田剛さんは、大学卒業後に自社養成パイロットの訓練生としてJALに入社した。池田さんは、パイロットが使う航路図や、マニュアルなどが入ったiPadを、生徒たちが手に取ってみられるようにしていた。

 訓練生時代について聞かれた池田さんは、「訓練はきつかったですが、僕だけではなく同期みんながきつい。お互いに助け合ってきました」と、同期とともに厳しい訓練を乗り切った経験を話した。

 普段の乗務については、「機長が機内の全責任を負うのですが、客室乗務員と顔を合わせられる時間は短い。まずはあいさつして、コミュニケーションをしっかり取ることが大切」(池田さん)と説明。「機長からは『今日のフライトはどうだった?』と尋ねられるのですが、発見がいつもあります」と、1便ごとにフライトから学んでいるという。

 パイロット訓練生の入社試験については、「面接で試験官は、基本的に落とそうと思っているよりは、良いところを見つけようとしています」とアドバイスしていた。生徒の中には、「エマージェンシーの経験はあるか」など、空の仕事に強い関心を持つ男の子や、女性パイロットについて尋ねる女の子の姿もみられた。

◆非常時には保安要員

 成田客室乗員部の杉山彩乃さんは、客室乗務員はサービスを提供するだけではなく、非常時には保安要員として乗客の安全を守る仕事だと説明していた。

 杉山さんは、「客室乗務員は緊急事態に対応できる必要があり、ドア操作など非常脱出の手順は機種ごとに違います。日本語と英語で説明するので、覚えるのに苦労しました」と打ち明けた。

 具体的な勉強について質問を受けると、「風邪をひいたりできないので、体力作りや、外国人乗務員や乗客とコミュニケーションできるよう、英語を勉強しました」と話した。

 客室乗務員の仕事は、土日が休みの一般的な会社勤めと異なるだけでなく、乗務予定の客室乗務員が乗務できなくなった場合に備え、シフトの中に「スタンバイ」がある。

 「スタンバイの日は、5時間くらい家で待機していなければならず、朝7時からスタンバイで、5分後に『ニューヨークへ行ってください』と電話がかかってくることもある」(杉山さん)と、客室乗務員特有の勤務パターンに触れていた。

◆先輩の仕事から学ぶ

 JALの整備子会社JALエンジニアリング(JALEC)の羽田航空機整備センターに所属する整備士の徳永大輔さんは、エンジンの整備を経て、5月から機体のシステムを担当している。

 徳永さんは、機体に付いている大きなタイヤの交換を3人がかりで作業するなど、整備の現場を紹介。「やらないといけない項目が決まっているので、チェックリストを使って確認します」と説明していた。

 整備士の仕事について、徳永さんは「先輩がやっていることを見て覚えるものもあります」と話す。勉強だけではなく、手順を観察して自分のものにしていくことの重要性に触れていた。

 生徒から好きな機体を聞かれると、「737ですね。国家試験を受けるので勉強したし、737の仕事もしました」と応じていた。

◆足が速くなった

 JALスカイに所属する地上係員の小椋麻里さんは、羽田空港の国内線第1ターミナルで、チェックイン業務や搭乗口のハンドリング業務に携わっている。

 「出発時刻が午後2時の飛行機は、2時には出てしまっています。電車と同じ感覚で、搭乗口へ2時に行けば間に合うと思っているお客様を、空港内で声を出して探しています」と、飛行機に乗り慣れない乗客を捜し回っている日常を、身振り手振りを交えて披露した小椋さん。「運動や走ることが苦手だったのですが、足が速くなりました」と明かし、「空港には出発時刻の30分前には来てください」と語りかけていた。

 地上係員も体力勝負の仕事だ。「よく食べて、よく寝ます」という小椋さんは、「今から体力作りをしてください」と、未来の地上係員たちに語りかけていた。

 生徒からは、試験の流れについて質問が出た。「書類試験と筆記試験、グループディスカッション、偉い人の面接があります」(小椋さん)と説明し、訪日外国人が増えていることから、英語力も欠かせないものになっているという。

 夏休みの宿題として、将来目指したい職業について調べる課題を出す中学校や高校が増えていることから、JALは従来から夏休みに今回のようなインタビュー形式の航空教室を開いてきた。

 2016年11月からは、こうした航空教室や折り紙飛行機教室などを子供向け次世代育成プログラム「空育(そらいく)」として展開。今回も、飛行機の世界や航空会社で働きたいと考える生徒たちに向けて開催した。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:8/21(火) 9:08
Aviation Wire