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「命に関わる暑さ」の日にスポーツ大会。参加者が熱中症になったら大会運営者の責任はどうなる?

8/22(水) 8:10配信

ファイナンシャルフィールド

熱中症による健康被害が連日報道されており、死亡するケースも珍しくありません。

そんな中、注意喚起がなされてもスポーツ大会やコンサートなどのイベントが行われることは多々あります。もし、そのような場所で熱中症になったとき、運営者に責任はないのでしょうか。

去年の熱中症による緊急搬送人員数は5万人以上。最も多い場所は「住居」

総務省によると、平成29年(5月から9月)の熱中症による緊急搬送人員数の累計は、全国で5万2984人でした。

「発生場所ごとの項目別の緊急搬送人員数」は、住居が1万9603人(37.0%)と最も多く、次いで公衆(屋外)7351人(13.9%)、道路7131人(13.5%)、仕事場(1)5648人(10.7%)(道路工事現場、工場、作業所等)の順となっています。

公衆(屋外)とは、不特定者が出入りする場所の屋外部分(競技場、各対象物の屋外駐車場、野外コンサート会場、駅(屋外ホーム)等)を指します。

「命に関わる暑さ」と判断されたときは、都道府県によって屋外活動の自粛が要請されることもありますが、そんな日に中学生・高校生の都道府県、市町村大会が開催されていることも少なくありません。

「命に関わる暑さ」でスポーツ大会を開催し、熱中症患者が出た場合、主催者は法律的に責任を問われないのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしてみました。

場合によっては、「安全配慮義務違反」に問われることがあると考えられます。

近い判決例ですと、東日本大震災の津波被害により多くの人命が失われた市立大川小学校の例が思い出されます。

学校の教職員や地区区長らが津波警報を聞いて、津波が押し寄せる具体的な予見が可能であったにも関わらず、予見された津波の大きさに鑑みると適切ではない場所へ避難させたため、避難途中に津波に浚われて児童、教師含む80人以上が亡くなってしまった事案です。

大川小学校は私立小学校だったため、遺族は市と県を相手に国家賠償法に基づき、安全配慮義務違反として損害賠償を求めて訴え提起し、判決で請求が認められました。

スポーツ大会の開催などでも、たとえば、猛暑が予報され熱中症のリスクがある注意報や警報が出されているにもかかわらず、休憩や水分補給ができない環境を改善しなかったり、体調不良を訴える生徒を休ませたりしなかったりした場合に、善管注意義務違反を問われる可能性は十分にあります。

最近のスポーツ大会などでは、主催者側も熱中症対策に力を入れていることが多いと思いますが、主催者の責任問題以前の問題として、参加する側も十分に気を付けたいものですね。

善管注意義務違反が認められた場合の損害賠償責任には、治療費、通院費、実費の他に慰謝料なども含まれます。

個々の事案によってさまざまですが、熱中症患者に全く非がなかった場合の慰謝料額は、交通事故の損害賠償額算定基準に準じて考えれば、1週間の入院と1カ月程度の通院が必要となった場合では20~30万円程度となるでしょう。

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