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『輝ける人生』は音楽ファンも注目!イギリス発、おじさん&おばさんの人情ドラマ

8/26(日) 11:51配信

Stereo Sound ONLINE

映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を、毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第12回をお送りします。今回取り上げるのは『輝ける人生』。人生の機微を伝える小粒な名画に定評のあるイギリス映画ならではの1本とのこと。ご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)


 皮肉屋で、プライドが高い。そのくせ周囲に気を遣い、列があると、とりあえず紅茶片手に並んでしまう。遠回しの笑いが好き。

 なーんてイメージのあるイギリス人。ソコで生まれる映画や音楽にも楽しさと陰りが等分にあり、適度に屈折していて味わい深い。

 この『輝ける人生』もそのラインのイギリス映画だ。女も男も、登場人物全員が還暦過ぎてるんじゃないかなぁ、これ。だからこそ面白い。笑えるし感動もできる。『オペラ座の怪人』や『グレイテスト・ショーマン』のアシュレイ・ジョンソンが振り付けを担当した(ミュージカル・シーンもある)オススメ作だ。

 主人公の専業主婦サンドラ(イメルダ・スタウントン)は鼻高々。長年連れ添った夫がナイト爵を受けて警察署を定年退職。今日はその記念パーティなのだ。ところが……。下町で暮らす姉のもとに身を寄せるハメになったサンドラは八つ当たり。私はこんなワーキングクラスの住人たちとかかわる人間じゃないのに!

 こう書くと身も蓋もないけれど、人生はやり直しが効くし、幸せはどこにでも転がっている(かも)というお話。こういうありふれたことを巧みな語り口で伝えられるのは気持ちがいい。

 消沈したサンドラが若いころ好きだったダンスを再開するので、後半は音楽がスクリーンにあふれるようになる。シックの「おしゃれフリーク」や、ザ・ブラザース・ジョンソンの「ストンプ!」など、70~80年代のディスコ・ファンクで盛り上がるのは還暦ジェネレーションならでは。若い奴らじゃこうはいかないぜ!

 エンディングに「ランニング・トゥ・ザ・フューチャー」という曲名はベタだけどちょっといい曲が流れ、これがイギリスの女性歌手エルキー・ブルックスの新録音曲だった。エルキーって1970年代の頭に、ロバート・パーマーと一緒に趣味趣味スワンプ・ロック・バンドのヴィネガー・ジョーで歌ってたハスキー・ヴォイスのお姉ちゃん(今はおばさん)じゃないか。びっくり。

 一昨年に公開された音楽青春映画『シング・ストリート 未来へのうた』が好きだったひとはぜひこちらも。未来へジャ~ンプ! この『輝ける人生』はあの人気作の高齢者版だ。

■『輝ける人生』
公開中
監督:リチャード・ロンクレイン
原題:FINDING YOUR FEET
配給:アルバトロス・フィルム
2017年/イギリス/1時間51分/シネマスコープ

Stereo Sound ONLINE / 久保田明

最終更新:8/27(月) 11:50
Stereo Sound ONLINE

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