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スズキ、マツダ、ヤマハの燃費不正 三菱自ほど悪質ではない

8/27(月) 12:03配信

ニュースソクラ

わかりにくい報道 消費者は賢く判断を

 スズキ、マツダ、ヤマハ発動機でも、工場で完成車を出荷する前の排ガスと燃費の抜き取り検査で、不適切な計測があったことが発覚した。2018年8月9日発表した。

 「でも」と書いたのは、SUBARU(スバル)と日産でも、抜き取り検査をめぐる一部データの書き換えなどが見つかっているからだ。マスコミは一連の問題を「燃費不正」「データ改ざん」などとまとめて報道するが、カタログ燃費をごまかしていた2016年の三菱自動車の不正とは悪質さが異なる。消費者としては注意して「悪質性」を見極める必要がありそうだ。

 自動車メーカーは道路運送車両法に基づき、工場で完成した新車を出荷する際、100台に1台程度を抜き取り、排ガスや燃費が国土交通省に申請し、大量生産を認められた設計(「型式」と呼ぶ)通りの数値に収まっているか検査している。排ガスと燃費の検査は、試験場の温度や湿度、走る速度や時間などが定められているが、スズキなど3社は検査時の速度や時間が基準を超え、本来は「無効」とすべきだったデータを「有効」として扱っていた。

 日産とスバルでは無効なデータを有効とするため、データの書き換えが行なわれていたが、今回のスズキなど3社は書き換えなどはなかったと説明している。

 これで排ガス・燃費の抜き取り検査で「不正」が見つかったのは、日産、スバル、スズキ、マツダの自動車メーカーに加え、二輪車メーカーのヤマハ発動機の5社になった。いずれも抜き取り検査で、ずさんな計測が行われていたことは非難されるべきだが、完成した4輪車と2輪車の品質に問題はなかった。この場合の品質とは排ガスとカタログ燃費で、排ガスは国の規制に適合しており、燃費は国交省が型式申請の段階で審査し、メーカーがカタログに記載した数値の通りだった。

 ここで思い起こしたいのは、2016年4月に発覚した三菱自動車の不正だ。今回の5社とは次元が異なるのだ。三菱自は完成検査の抜き取り検査ではなく、国交省への型式申請の段階で「eKワゴン」など軽4車種のカタログ燃費を実際よりも良く見せるため、意図的に燃費の走行データを改ざんしていた。不正発覚後、国交省が燃費を測り直したところ、実際の燃費はカタログより最大約16%悪かった。このため三菱自はユーザーに1台当たり一律10万円の補償金を支払った。

 さらに国交省が2016年8月、三菱自が販売中の9社種(問題となった軽4車種を除く)の燃費を再測定したところ、「パジェロ」「ミラージュ」など8車種がカタログ燃費を最大8.8%、平均4.2%下回っていたことがわかった。このため三菱自はユーザーに3万円から10万円の補償金を支払った。

 国交省は2016年5月に燃費の測定方法で不正が発覚したスズキの26車種についても、燃費を測定し直したが、スズキは燃費をよく見せる不正は行なっていなかったため、全車種ともカタログ燃費を上回っていることが確認された。

 2016年の三菱自の燃費不正は、カタログ燃費を実際よりよく見せるため、型式審査の段階で国交省に提出するデータそのものを改ざんしていた点で悪質さが突出している。それに比べると、今回は完成車の抜き取り検査の不祥事で、カタログ燃費そのものに影響はない。このため各メーカーともリコール(回収・無償修理)は行なわない方針だ。

 一連の報道をわかりにくくしているのは、日産とスバルが昨秋、リコールを実施していることだが、こちらは新車の完成検査を無資格の従業員にさせていたためだ。日産、スバルとも排ガスや燃費に問題はないが、完成検査をやり直すことでユーザーに安心してもらうため、自主的にリコールを行なった。リコールは原則としてメーカーの届出制で、カタログ燃費に問題があっても排ガスに問題がなければリコールの対象とならない。このため2016年の三菱自も新車の販売を中止したり、ユーザーに補償金を支払ったりしたが、排ガスには問題がなかったため、リコールには至らなかった。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

最終更新:8/27(月) 12:03
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