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5Gを先取り、専用データセンターを創設

8/29(水) 12:04配信

ニュースソクラ

【ニュースソクラ編集長インタビュー】ブロードバンドタワー、藤原洋社長に聞く(上)

 ITの革新企業をめざすブロードバンドタワーは今月中に次世代通信の5Gに対応したデータセンターを大手町に開設する。5Gで何が変わるのか、BBタワーは何を目指すのか。藤原洋社長に聞いた。(聞き手はニュースソクラ編集長、土屋直也)

 ーー5Gデータセンターを8月中にオープンするそうですが、通信形態が4Gから5Gに変わることで世界はどう変わるのですか。

 世代ごとに変化をみるとわかりやすいでしょう。1Gはアナログ携帯電話、2Gはデジタルにはなったが、世界は3方式に分かれていました。これが3Gでは欧州・日本が一本化したのに対して米国が違った方式で、3方式から2方式になりました。機能面では、それまでの携帯電話から写メールができるようになりました。

 4Gになって中国の一部を除くと世界の規格が統一されました。これはスマホのための通信形態です。そして5G はもちろん中国を含め統一されますし、IoTのための通信インフラとなります。

 ーー4GではIoTに対応できないのですか。

 5Gは4Gの進化系であると同時に、低パワーのセンサー情報を伝えやすくなります。一方で通信速度が速くなるので8Kのイメージセンサーの情報も送れる様になります。これはテレビ画像ではありませんよ、たとえば、自動車の周りに8Kのセンサーを配置すると、人間の目よりも精度が高くなります。人間の目が人の飛び出しを見落としても8Kセンサーならより早く捉えられます。より安全だし、そうした情報を5Gで他の車にも伝えられるようになります。

 製造業でも8Kならいまは目視でチェックしている製品の傷をコンピューター(ロボット)が検査できるようになります。5Gは広い意味ではセンサー情報のインフラとも言えます。

 5Gは2020年から普及が始まりますが、すぐに携帯が5Gに切り替わるわけではないのです。5Gは周波数帯が高いので回りこみずらく、直線的に受け取れる基地局の整備が必要な面があります。基地局の整備にはかなり時間がかかるでしょう。

 ーー5Gのデータセンターとはいままでのデータセンターとどこが違うのですか。

 5GはIoT対応だから、グーグルやフェースブックの代わりに、たとえば自動車会社がデータセンターの主要な顧客になります。

 ーー自動運転に関係してですか。

 それもあるのですが、いつブレーキを踏んだ、いつアクセルを踏んだといった運転情報を自動車からクラウドに取り込んでデータとして自動車会社が収集する「コネクティッドカー」というコンセプトが始まっています。

 トヨタの場合、レクサスから始まって、こんどはクラウン、カローラにも広げると発表しました。車がトラブルで止まってしまったりしたら、トヨタのセンターでみつけて援護車を自動的に送れるようになります。運転が荒い人へ警告するような機能もでてくるでしょう。安全で快適なドライブを自動車会社が、車を売った後もメンテナンスし続けるわけです。

 広い意味でのリモートメンテナンスなのですが、この通信インフラが5Gなのです。4Gまではひとがインターネットにアクセスしていたわけですが、人がしらないところでコンピューターという機械が情報収集している、人と機械が混在するネットワークに進化していくことになります。

 ーー5Gのデータセンターはこれまでのデータセンターどこが違うのですか

 桁違いに増える情報量を処理するデータセンターですから、記憶容量が大きく、処理速度が早いということになりますが、それで変わってくるのは電力消費量でもあるのです。データセンターというのはサーバーの集積のようなものですが、高さ1.9メートルの1ラックあたりの電力消費量はいまは2KVA(キロボルトアンペア)ですが、うちのセンターでは標準が6KVAで、オプションで12KVAまで上げられます。

 人口知能(AI)を使いこなしDEEPラーニングをすばやくできるようにするには、データセンターは画像処理のために作られたGPU(集積回路)を満載しても動くようにしなければならないのですが、GPUは電力を食いますから、電力消費量を上げられるセンターが求められるのです。

 ーーGPUをたくさん搭載するのがAIに適しているのはどうしてですか。

 GPUはグラフィック処理がしやすく、これまではゲームなどに使いやすいCPUとして開発されたものなのですが、この画像処理のプロセスはAIのDEEPラーニングにも適しています。それで、AI用にGPUを流用することにしたのです。

 GPUは画像ごとに並列処理するためのものですが、AIはビッグデータをたくさん飲み込む必要があります。たくさんのデータを並列処理できるGPUが適しているというわけなのです。インテルのCPUは複雑な演算はできても、一度にできる情報処理はせいぜい8つぐらいです。それがGPUなら1000個ぐらい同時にこなせるので、たくさんのデータを同じような処理でどんどん進めるのには適しているのです。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:8/29(水) 12:04
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