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【上海で躍進する企業】「物語コーポレーション」(上)

8/31(金) 16:00配信

ニュースソクラ

ちょいダサでひきつけた

 1999年、初めて上海を訪ねた。その頃から街中では世界の言語が飛び交い、世界の料理が堪能でき、ニョキニョキと出てくる高層ビル群の隙間には今も残る昔の住宅街「里弄」など、何もかもが面白くて虜になった。以来19年間、年に何度も訪れ、写真を撮り続け、取材をし続けてきた。       
 その中でも、とりわけ執着したのが、海を越えて死ぬ気で生き抜く日本人たちの存在だ。企業・個人問わず、さまざまな要因で苦戦をしいられ帰国した人も多く、日系企業の撤退は数多い。中でも外食企業の撤退は著しい。

 上海在住18年、2004~2014年、中国で飲食店を22店出店運営し、現在は外食産業のコンサルタントとして活躍するゼロイチ・フード・ラボCEO藤岡久士氏が「相次ぐ撤退は日系に限ったことではなく、一斉を風靡した台湾やシンガポールなどの外食企業も撤退及び失速。それほど上海(中国)マーケットは厳しい」と話す。その競争は年々厳しさを増している。

 そんな中、数年前から日系企業が手掛ける蟹料理の専門店「蟹の岡田屋総本店」が人気を集め、中国最大グルメサイト「大衆点評」で、オープンから3年たった今も継続して全店舗9.0以上の好評価を得ている。 

 外灘の一等地に高級和食として長年君臨する「SUN with AQUA(サントリー)」を管理運営する三得利餐飲管理(上海)有限公司・総経理の工藤浩成氏も「今、元気なのは物語コーポレーション(「蟹の岡田屋総本店」を管理運営。以下、物語C)」と言うほどだ。

 しかし、ここで疑問が? 蟹なのに、何故、社名が『物語』? 本屋みたいな名前なのに飲食? 気になる。 物語(上海)企業管理有限公司(物語Cの上海現地法人)・総経理の岡田雅道氏(40)に会いに行った。

 蟹の岡田屋総本店は2015年8月に1号店を太平洋百貨にオープンした後、現在、上海に13店舗を構え、今年8月には蘇州1号店をオープンさせ、躍進を続けている。待ち合わせ場所は、高級ショッピングモール「尚嘉中心」3階にある店舗。

 現地に着くと、ひと目で蟹の岡田屋総本店はここだと分かった。巨大な蟹のオブジェが店前にどど~んと鎮座していたからだ。カメラ片手の私に気づき中からでて来た男性が、「“ちょいダサ”がいいんですよ」と満面の笑みで話した。岡田氏だった。

 たしかにお洒落とは言い難い店舗デザインだがインパクトは大きい。「上海でお洒落でモダンな店は数え切れないほどあり、太刀打ちできませんよ。だから、“ちょいダサ”がちょうどいいんです。ま、どうぞ中へ」と促され店内へ。

 日本を感じさせる暖簾をくぐると、通路の壁面には、獺祭をはじめとする日本の高級日本酒や焼酎がずらり。通路を抜けると店内だが、あら不思議。外にいるような造りなのだ。

 「テーマが日本の祭り」で、提灯が頭上にずらりと灯り、川床をイメージした客席は開放感に溢れていた。「おぼろげに優しく灯る提灯はこちらでは手に入らず、特注で浅草の職人さんに依頼したんです」。

 そのこだわりぶりに、興味心はマックスに。彼のヒストリーを聞かせてもらうことにした。そして、後で思えば、すでにこの時、何故、社名が『物語』なのかという答えが出ていたことに気づく。そう、、彼の物語を私は聞くことになったのだから。

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最終更新:8/31(金) 16:00
ニュースソクラ

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