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イージス護衛艦「あたご」改修の不可思議:どうなる、日本の弾道/巡航ミサイル防衛

9/2(日) 6:44配信

FNN PRIME

平成31年度概算要求「あたご」型改修の内容決定

8月31日、防衛省が過去最大の5兆2986億円となる来年度予算の概算要求を決定した。
今回の概算要求には、「イージス・アショア」2基の取得関連費2352億円、弾道ミサイル迎撃用の迎撃ミサイル、SM-3ブロックIB及びSM-3ブロックIIAの取得に、約818億円、巡航ミサイル迎撃用のSM-6迎撃ミサイルの取得に約111億円、そして、イージス艦「あたご」をSM-3ブロックIIA迎撃ミサイルを発射できるようにするための改修に約75億円、ペトリオットPAC-3システム改修に約111億円等、多くの項目を盛り込んでいる。

【画像】「あたご」型改修で遠隔迎撃(Engage On Remote)は出来るようにならない

この背景には、防衛省が8月28日に発表した「2018年版 防衛白書」の情勢評価があるのかもしれない。
防衛白書は、6月に行われた史上初の米朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩委員長が、朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を「文書で明確に約束した意義は大きい」と評価する一方で、北朝鮮が日本列島を射程に収める数百発の準中距離弾道ミサイル「ノドン」を実戦配備していることを例にあげ、米朝首脳会談後も脅威についての基本的な認識に変化はないとしている。

従って、防衛省にとって、弾道ミサイル防衛は喫緊の課題であるのだろう。

「あたご」は“イージスBMD5.1“、“CEC“を搭載せず

しかし、今回の概算要求で、注目されたのが、イージス護衛艦「あたご」改修の件。
「あたご」は、日米共同開発の弾道ミサイル迎撃ミサイル、SM-3ブロックIIAを発射できるように改修する、となっている。

SM-3ブロックIIAを発射するためには、イージス艦に「イージスBMD5.1」というシステムを搭載する必要があり、米弾道ミサイル防衛局(MDA)で開発中。

7月30日に横浜の造船所で進水したイージス護衛艦「まや」は、このイージスBMD5.1を搭載する予定だ。
しかし、あたご型はイージスBMD5.1を搭載せず、その前のシステム、イージスBMD5.0または、イージスBMD5.0CUを改修した日本版システムを搭載して、SM-3ブロックIIAを発射できるようにするという。

イージスBMD5.1では、SM-3ブロックIIAの射程の長さを生かすため、他のイージス艦が発射したSM-3迎撃ミサイルを管制するEngage On Remoteという能力が付く。

しかし、この「あたご」型用のイージスBMD5.0または5.0CU改造の日本版システムではこのEngage On Remote能力は付かないという。
さらに、巡航ミサイル防衛 NIFC-CAに決定的に重要と言われるCEC(共同交戦能力)の端末、BYG-7Bは「まや」型には搭載されるが、「あたご」型には搭載されず、巡航ミサイルから日本を防衛することができる海上自衛隊のイージス艦は「まや」型のみとなりそうだ。

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最終更新:9/2(日) 6:44
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