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狭い、狭すぎる道にバス好き興奮! 冬はドカ雪の温泉街行きバス、100年目の再出発で変化

9/2(日) 11:10配信

乗りものニュース

最大積雪455cmでも休まず走り続けた村営バス

 山形県の最上地方は、いくつもの温泉場が点在する「温泉の宝庫」として知られます。なかでも月山の麓にある大蔵村の肘折(ひじおり)温泉は、開湯から1200年以上を数える温泉郷で、古くから湯治場として親しまれてきました。

【路線図】肘折温泉行きバスのルート

 そんな肘折温泉への足として活躍しているのが、大蔵村が運行する村営バスの新庄肘折線です。最上地方の中心都市である新庄市の山形県立新庄病院からJR新庄駅、大蔵村の中心集落である清水を経由して肘折温泉までを、平日6往復、土休日4往復、所要時間1時間弱で結んでいます。

 この路線は1917(大正6)年に肘折温泉近隣の有志が開設したのが始まりで、温泉街同様に長い歴史があります。2017年の3月までは、山形市に本社を置く山交バスが同路線を走らせていましたが、赤字がかさんできたことから撤退。それでも地元の足として、そして観光客を呼び込むためにもバスが欠かせないことから、運行を新庄市の業者に委託する形で村営バス化しました。

 バスは新庄市街を抜けて大蔵村へ入ると、最上川の支流に沿って山の奥へ奥へと進んでいきます。村の中心部を過ぎ、「塩」という風変わりな名前のバス停を過ぎると、曲がりくねった道を登り稜線の上へ。車窓からは天気が良ければ出羽三山を望むことができます。

 肘折温泉は、2018年2月には最大積雪455cmを記録した日本有数の豪雪地帯です。冬から春にかけて乗車すると、肘折温泉へ向かうにつれ、次第に道の両側に連なる雪の壁が高くなってきます。そして、ついにはマイクロバスを越えてしまうほどの高さに。見慣れない人はその光景に圧倒されるかもしれませんが、除雪体制がしっかりしているため、村営バスは最大積雪を記録した日でも休まず走り続けたといいます。

温泉街はカルデラのなか 道は一気に狭く!

 国道を上りきり、温泉街へ通じる県道へ入ったバスは、ループ橋で山を駆け下ります。温泉街は、「肘折カルデラ」とよばれるカルデラのなかにあるのです。この風景もなかなか雄大なのですが、じつはこのバス最大の見所は、温泉街のなかを走行する姿です。

 ループ橋から急に狭まった道を行くと、いきなり狭い直角カーブに突き当たり、そこを曲がると両側に温泉旅館や商店が立ち並ぶ温泉街のメインストリートに突入します。このメインストリートは、ところによってはマイクロバスでもすれ違えないほど道が狭く、さらに直角クランクがあるなど、運転士の腕の見せ所ともいえる迫力の光景が展開します。

 温泉街の「第一停留所」「第二停留所」と、バスにとっては難関ながらも風情のある温泉街を抜けると、終点の「肘折待合所」に到着します。この路線、じつは山交バスの時代はマイクロバスではなく、大きなバスで運行されていました。そのため「狭隘(きょうあい)路線」好きのあいだでは有名で、いま以上に迫力ある光景が展開されていたのです。

 肘折温泉の旅館・民宿は約20軒で、湯治場ということもあり長期滞在する人も少なくありません。宿泊客がこのバスに乗って帰るときには、旅館の人がバス停まで見送りに来る光景もよく見られます。このバス路線が、温泉街にとって大切にされていることがうかがえます。

乗りものニュース編集部

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