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全固体電池の世界市場、2035年に2兆7877円規模に

9/4(火) 7:10配信

スマートジャパン

 調査会社の富士経済は2018年8月、次世代電池として注目を浴びる全固体型リチウム二次電池などの世界市場を調査し、その結果を「2018電池関連市場実態総調査No.1」にまとめた。このうち、EV向けで注目される全固体型リチウム二次電池の市場規模は、2035年に2兆7877億円と2017年比1000倍を超える大幅な伸長を予測している。

 EV向けの電池として使用されるリチウムイオン二次電池は航続距離延長や安全性の向上などの課題も残っており、これらの解決に向けた電池材料の改良と並行しながら、新たな電池として全固体型リチウム二次電池の開発も進められている。全固体型リチウム二次電池は技術的なブークスルーもあり、2020年代にはEVに搭載されるとみられ、期待が集まる市場となっている。

 今回の調査では、固体型リチウム二次電池(全固体電池)として、硫化物系、酸化物系、高分子系、錯体水素化物系を対象とした。

 2017年の市場規模はまだ小さく21億円となった。既に市場が一定規模形成されているのは高分子系全固体電池だけであり、海外メーカーが主導して自動車向けで展開している。日本メーカーが積極的に開発を行っているのは硫化物系全固体電池で、EV向けで2020年代前半の量産化を目指して開発が進められている。

 酸化物系全固体電池の展開はわずかであるが、受動部品メーカーがチップ型の開発・製品化に積極的でありIoTやウェアラブルといった小型電源部品としての採用が期待される。自動車向けなどの大型電池は、台湾や中国のメーカーが中心となって固体電解質にポリマーなどを添加した疑似固体のシート型の開発に取り組んでいる。一方で全固体のシート型は基礎研究段階であり実用化は2030年ごろと予想される。

 2035年の全固体型リチウム二次電池市場は2兆7877億円(2017年比1327.5倍)と予測している。全固体電池の中では、活物質と固体電解質の界面形成が比較的容易で電池の大型化がしやすい硫化物系全固体電池が市場の形成期・拡大期をけん引するとみられ、2035年には2兆1200億円を見込む。また、材質が比較的硬く、界面の形成が硫化物系と比べると困難で、大型化に課題のある酸化物系全固体電池は2035年に6120億円が予測され、安定性や安全性の高さなどから2035年以降の伸びが期待される。

 材料に関してはリチウムイオン二次電池では正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータが主要材料として挙げられる。全固体電池では、固体電解質が使用されることから電解液とセパレータが不要となるが、正極活物質や負極活物質はこれまでリチウムイオン二次電池に使用されていたものが引き続き採用されるとみられる。

 一方で、全固体電池はリチウムイオン二次電池より高容量な正極活物質や負極活物質の適用が可能なことなどから、新しい材料の登場も期待されており、正極活物質では既存のコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、三元系、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムに加え、高容量な硫黄やコバルトフリーの5V級スピネルが、負極活物質では既存のグラファイト、チタン酸リチウム、シリコン系、一酸化ケイ素に加え非常に高容量な金属リチウムなどの検討も進められている。

 この他、全固体電池のほかポストリチウム二次電池として金属空気二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池の4品目についても調査している。

 現状ではポストリチウム二次電池の市場は形成されておらず、全固体電池の市場のみである。一番実用化に近いといわれるナトリウムイオン二次電池は2025年ごろから、それ以外は2030年以降の市場形成が予想される。2035年の市場予測は149億円と小規模であるが、リチウム二次電池の市場拡大に伴いレアメタルフリーのメリットも強まることから、低コスト・低環境負荷を強みに、2035年以降市場が本格化するとみている。

スマートジャパン

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