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今さら聞けないテニスのイロハ ~第9回 ランキングについて~

9/4(火) 18:30配信

THE TENNIS DAILY

プロテニス選手としてツアーに参加し、試合に出場すれば、勝ち進むたびに「ランキング・ポイント」というポイントがもらえます。そしてその合計ポイントが高い選手から世界ランキング1位・2位...となるわけですが、時に前の週の大会で好成績だった選手が、出場していなかった選手にランキングで抜かれていたりして、疑問に思ったことはないでしょうか? 今回は少し不可解かもしれないランキングの仕組みを説明していきます。

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■四大大会優勝者には、何と2,000ポイント!

「全豪オープン」「全仏オープン」「ウィンブルドン」「全米オープン」の四大大会では、優勝者には2,000ポイント、準優勝者でも1,200ポイントがもらえます。その次に大きなマスターズ1000の大会では優勝者1,000ポイント、準優勝者600ポイント...と、大会の規模によって獲得できるポイントは決まっており、たとえ1回戦で敗退しても、出場すればだいたい10ポイントがもらえます。

■ポイント増に必要なのは「1年前以上の結果」

ポイントは52週間(1年間)有効。現在ATPシングルスのランキング1位(8月27日時点)のラファエル・ナダル(スペイン)を例に説明しましょう。昨年「全米オープン」で優勝したナダルは、昨年の大会明けの月曜日のランキングで2,000ポイントが加算されましたが、今年の「全米オープン」が終わる時点でその2,000ポイントは消滅します。つまり、ナダルは今年も優勝すればプラスマイナスゼロですが、仮に準優勝だとポイントは(2018年8月27日のポイント10,040)-(昨年の「全米オープン」のポイント2,000)+(今年の「全米オープン」のポイント、準優勝なら1,200)=9,240と、減ってしまうわけです。それでも今年の「全米オープン」前にランキング2位だったロジャー・フェデラー(スイス)が優勝した場合のポイントを同じ式に当てはめると、7,080-360+2,000=8,720で、ナダルは1位を守れます。実際、今年の「全米オープン」でナダルが1位を明け渡すには、フェデラーが優勝してナダルがベスト8かそれ以前に敗退しなければなりませんでした(3位のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)は5,500ポイントなので、たとえ優勝しても1位にはなれません)。

また、昨年からケガのせいで不調に苦しんでいる元世界1位のアンディ・マレー(イギリス)の場合は、長期間試合を欠場、あるいは不振だったので8月27日時点のポイントは110、ランキング382位まで落ちてしまっていますが、逆に既に失うポイントもありません。もし現時点でマレーが1,000ポイントを獲得すれば、それだけで一挙に40位まで浮上することも可能なのです(8月27日時点で40位のジル・シモン(フランス)のポイントは1,080)。

どんな大会でも優勝すれば、翌年は「昨年の優勝者」という追われる立場になってプレッシャーは倍増するのでしょうが、ランキングの仕組みでは「昨年以上の成績を出さないとポイントが減る」という、数字で見える結果が出るのです。こんなシビアな状況の中で長い期間ランキング1位をキープし、また返り咲いたナダル、フェデラー、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の3人は、やはりテニスの才能とたゆまぬ努力、さらに最強のフィジカルとメンタルの持ち主と思わざるを得ません。

■レース・トゥ・ロンドン、レース・トゥ・ミランとの違い

通常のランキングの他に、ATPのホームページを見ると「レース・トゥ・ロンドン」と「レース・トゥ・ミラン」というランキングもあります。通常のランキングがその時点での過去52週間の累計ポイントで決まるのに対し、これらは1月の初めか12月末に始まるそのシーズンだけの累計ポイントで順位が争われ、上位8人が年末にイギリスのロンドンで開催される「Nitto ATPファイナルズ」あるいは、上位7人+ワイルドカードの1人がイタリアのミラノで開催される「Next Gen ATPファイナルズ」に参加できるランキングのことです。昨シーズン後半にケガなどで休み、今シーズンから復帰して好成績を上げているジョコビッチと錦織圭(日本)は、それぞれ通算のランキングが6位・19位(8月27日時点)なのに対し、「レース・トゥ・ロンドン」では3位・11位と出場が見えてきています。また「Next Gen ATPファイナルズ」の方は、「ATPファイナルズ」の1週間前に行われる21歳以下の大会で、2017年に始まったばかり。第1回の出場者はデニス・シャポバロフ(カナダ)、チョン・ヒョン(韓国)、カレン・ハチャノフ(ロシア)などで、その後も順調に活躍しています。今年はステファノス・チチパス(ギリシャ)やアレックス・デミノー(オーストラリア)らも加わり、更に楽しみな大会になりそうです。

■ちなみに全米オープンの出場賞金を見てみると...。

ちょっとわかりにくいテニスのランキングの仕組み、おわかりいただけたでしょうか? 四大大会への出場は、男子/女子シングルスの場合、ランキング100位内に入っていれば予選を戦うことなく出場権が得られます。本戦に直接登場するので、「ストレートイン」といいますが、例えば「全米オープン」であれば、1回戦で敗退しても出場賞金は54,000ドル(約600万円)。優勝賞金の380万ドル(約4億2,000万円)とは比べるべくもありませんが、まず出場しないことには優勝もできませんからね。

(文/月島ゆみ)

※写真は左からデル ポトロ(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)、ナダル(Photo by Alex Pantling/Getty Images)、フェデラー(Photo by Shelley Lipton/Icon Sportswire via Getty Images)

(c)テニスデイリー

最終更新:9/4(火) 18:30
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