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舘ひろしがカナダでの最優秀男優賞に「どうなってんだ」、渡哲也と石原裕次郎に感謝

9/4(火) 17:29配信

映画ナタリー

舘ひろしが、第42回モントリオール世界映画祭にて最優秀男優賞を受賞し、本日9月4日に東京都内にて会見を行った。

【写真】舘ひろし(メディアギャラリー他16件)

第42回モントリオール世界映画祭は、カナダ現地時間8月23日から9月3日に開催された北米最大規模の国際映画祭。現在68歳の舘はコメディ作品「終わった人」にて、大手銀行のエリートコースを外れて定年を迎え、世間から“終わった人”と思われるようになった主人公・田代壮介を演じ、同賞に輝いた。

会見に登場した舘は「本当にありがとうございます。私はデビューも東映作品だったのですが、東映の映画でこの賞をいただけたことに、何か意味がある気がします」と挨拶。さらに「私が一番信じていないのは、自分の芝居です。俳優を43年やっていますが、最優秀男優賞なんてものをいただけると思ったことは一度もなくて。今は本当なのかな?という気持ちと、どうなってんだ?というのが正直なところでございます。まあ、あの……よかったです」と謙遜する。日本人俳優による同映画祭での最優秀男優賞の受賞は、1999年の「鉄道員」での高倉健以来、19年ぶりの快挙。しかし舘は「高倉さんは大スターでいらっしゃるので、私なんかとは一緒にしないでいただいて。でも一緒の賞をいただけたのはうれしく思います」と終始控えめにコメントした。

会見では、「終わった人」原作者の内館牧子、監督の中田秀夫からの祝福のコメントが読み上げられた。舘は恐縮しつつ「中田監督の演出や内館先生の原作、一緒にやってくれた黒木(瞳)くんほか俳優さんたちが、僕をそこ(受賞)まで持っていってくれたんだなと思って感謝しています」とお礼を述べる。自らの演技を「まったく自信がない。こんなに信用できない俳優はいませんから(笑)」「演技が評価されるなんて、こんなことがあっていいんだろうか」と卑下する舘は、本作の現場を「『あぶない刑事』なんかの場合は、自分のやることも決まっていますから、ある程度わかっているんです。でも今回は毎カット迷いながら作って行ったような気がします」と振り返った。

また「終わった人」を鑑賞した「あぶない刑事」シリーズの村川透から、手紙を受け取ったと明かした舘。「『すごく面白かった、舘さんは本当に終わってないんだね』と言われた瞬間に『俺はひょっとしたら終わったかな?』って感じがしたんですけど(笑)。この賞で、終わってないことが証明されたかな」と笑顔を見せた。

舘がこの受賞を知ったのは、本日の午前中だそう。事務所スタッフからの電話を受けたときのことを「今日は本当は病院で定期検診に行くはずだったのをすっかり忘れてて……その電話のついでにモントリオールで賞をいただいたと聞きました。『あ、ほんと』って感じで……。それより病院をすっぽかしちゃったことがすごく気になってた」と包み隠さずに話して笑いを起こす。さらに受賞後、渡哲也から電話があったことを「渡にはいつも『もうそれ以上芝居はうまくなるな』と言われていたものですから、この最優秀男優賞をもらって怒られるかなと思ったんですけれども(笑)。でもおめでとうと言われました。うれしかったです」と回想。なお、そんな渡の“芝居はうまくなるな”という教えについては「小芝居をするな、人生をまるごと演じてしまえ。自分の存在で芝居していけということだと思う」と説明した。

本作ではダンディなイメージとはかけ離れた役柄を演じた舘。今後の活動については「もちろんハードボイルド作品も好きですし、得意と言えば得意。でもこの歳ですのであまり走っていられないのも実情でございまして。どんな役でもオファーをいただければやっていきたい」と意欲を語る。また9月8日から東京・丸の内TOEIにて本作の凱旋上映がスタートすることから、舘は「『終わった人』はまだ終わらないということらしいです」とニッコリ。最後に舘は「本当にお礼を言いたい人がたくさんいます。でもやっぱり渡が支えてくれていたからかな、という感謝でいっぱいです。それから石原裕次郎さんが、もし私が映画で賞を獲ったと聞いてくれたらきっと喜んでくれるだろうなと思いました」としみじみ語り、会見を締めくくった。

■ 中田秀夫 コメント
舘さん、モントリオール世界映画祭での、最優秀男優賞の受賞たいへんおめでとうございます。
名作映画を沢山ご覧になっている舘さんと、クランクイン前に、「アバウト シュミット」のニコルソンのお腹について語ったり、「夫婦善哉」の森繁さんの身体のキレなどを楽しく話し、また現場でも、そうした“映画的記憶”を掘り起こしながら、エンタメであり、かつ“リアルな人生”を感じさせる場面、映画をと、懸命に考えてくださった、舘さんならではの受賞だと思います。
ご一緒できて光栄でした。
改めて、すべてのスタッフを代表して、感謝とお祝いを述べさせていただきます。

■ 内館牧子 コメント
舘さん、今、仕事部屋で一人で乾盃しています。
あのしょぼい定年オヤジ役をよくぞ引き受けて下さいました。誰もが「あの舘ひろしがこんな役を!?」とのけぞったのです。
なのにお腹にアンコを入れ、メタボ気味のフツーのオヤジの哀愁をみごとに表現して下さって、原作者として感動しました。それが世界で認められ、誰もが舘ひろしの俳優力を再認識したでしょう。今度はみんなで乾盃を必ずね!

■ モントリオール世界映画祭の審査員によるコメント
作品としては現代社会の変化をうまくとらえて描いていてとてもよかった。1960年代の「砂の女」を思い出した。舘さんが定年前から定年後の主人公の心情の変化を見事に表現していた。主人公が人生にくたびれた人物から、モダンに変化していくさまは素晴らしかった。

最終更新:9/4(火) 17:29
映画ナタリー