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<シリア>政府軍によるイドリブ奪還戦迫る 現地記者に聞く(1) 化学兵器攻撃を受けた町は今(写真4枚)

9/4(火) 6:03配信

アジアプレス・ネットワーク

◆市民生活はどうなっているのか

シリア北西部イドリブ県は、7年間にわたり反体制諸派によって支配されてきた。日本人ジャーナリストの安田純平氏が武装勢力に拘束されているといわれる。政府軍やロシア軍によるイドリブ奪還戦が迫るという情報が流れるなか、現地の市民生活はどうなっているのか。イドリブ県南部、ハーンシェイフンで取材活動を続けるシリア人記者、ジャベール・アル・バクリ氏(29歳)にネット電話を通して聞いた。(聞き手:玉本英子・アジアプレス)

◇ハーンシェイフンの状況は?

ジャベール・アル・バクリ氏:
イドリブ県南部に位置するハーンシェイフンは人口約8万人です。ここでは、2017年4月、化学兵器の爆弾が投下され、100人以上が死傷しました。現在も肺疾患や呼吸困難を訴える人たちが少なくありません。医薬品や医療機器が不足しているため、彼らが十分な治療を受けることはできません。

電気供給はずっとストップしたままです。そのため発電機を使います。食料は米、小麦、野菜が中心です。野菜は郊外の畑で採れますが、農村地域の住民も避難しているため、収穫量は非常に少なくなっています。物価は非常に高いです。例えば主食のパン(ナン)は、内戦前の10倍の値段になりました。ナンは7~8枚単位で売られるのですが、いま150シリアポンド(約32円)です。ここでは仕事がない人が多いため、買うのも容易ではありません。

子どもたちの多くは学校へ行っていません。現在、戦闘の影響でイドリブ県では全体の7割が休校だといわれます。そのため他の地域より教育水準は低下しているでしょう。親はもちろんのこと、子どもたちは、将来が心配でならないようです。

イドリブでおもに起きているのは、アサド政権派の民兵と、イドリブの反体制武装諸派との衝突です。砲撃で建物が破壊され、多くの市民が犠牲になっています。そのため、比較的安全と思われるトルコ国境近くの県西側に避難する人たちが増えています。このあと政府軍の作戦が本格化すれば、どうなるのか、市民の犠牲がさらに増えるのではないかと不安です。(つづく)

【写真】ジャベール・アル・バクリ氏(29歳)はハーンシェイフンを拠点に、イドリブ一帯で取材活動を続ける。(2015年撮影)