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性的マイノリティにとってストレスフルな病院は、いつ変わるのか

9/4(火) 17:07配信

BuzzFeed Japan

先日、日本文学研究者のロバート・キャンベル先生が、自身のセクシュアリティも表明したうえで、日本の性的マイノリティの状況について問題提起をしたブログの文章が、大きな反響を呼びました。私もゲイとして感動をもって読んだ一人です。

その文章への私なりの応答、そして文章がまきおこした「賛否両論」の様子については、またいつかしたためてみたいと思っていますが、文章のなかで先生は、

・日本では倒れても杖となるべき同性パートナーを病室に呼べず、老いては介護に関わらせることすらできず、先立たれれば相続はおろか、血縁者の反対にあえば葬儀にも出させてもらえないという現実を見聞きした。

・自分が数年前に入院したとき、主治医らは私の同性の伴侶にも自然体で接してくれたが、それはたまたまの幸運で、だれもがそうとは限らない。私の死後に日本人である彼が残された場合の不安もある。

・日本が、性的少数者がふつうに、「ここにいる」と言える社会になってほしい。


といったことを述べています。

私はしばらくまえに、まさに病室での「だれもがそうとは限らない」といった過酷な経験を聞いたところでした。

それゆえに、「性的マイノリティには触れず・語らずの対応で日本は十分だ(「過剰な」対応など必要ない)」という政治家、杉田水脈氏の主張や、当事者も含めて杉田氏を支持し、むしろ先生の文章に反発する声も多かったこと(「また外国人による文化侵略だ」との声さえ見かけた)に首をかしげたものでした。

今回読者のみなさんとその経験談をシェアし、「国レベルでのLGBT差別解消法もパートナーシップ法も、ましてや同性婚もまかりならぬ日本では」(キャンベル先生のブログより)どんな現実が起こりうるのか、一つの事実を知っていただければと思う次第です。
【寄稿:永易至文・NPO法人事務局長、行政書士】

保証人はだれ? お友だちじゃねえ......

大橋京子さん(仮名)、36歳。23区内に10年来、女性パートナーとともに暮らすレズビアン女性です。企画営業の仕事をバリバリこなす京子さんは、昨年秋、激務と過労、しかしヘルプも得られない孤立のなかで、重いうつ病に悩んでいました。なかなか効かない薬に対し、医師は処方を変更。

「ところが、その薬の副作用で私は錯乱状態に陥り、自宅で倒れてしまったんです」

同居のパートナーが発見して救急車を要請。近所の総合病院へ搬送し、応急措置がとられました。

「救急車には彼女も一緒に乗れましたし、病院でも対応はよく、パートナーということで彼女は私と面会もできたし、医師の説明も聞けたんです」

しかし、うまくいったのはここまで。

彼女は救命後、しばらく大事をとって入院することになりました。かかっていた精神科クリニックは連携する病院がなく、都内の精神科の病院リストをくれただけで、京子さんは自分で病院を探し始めます。

しかし、年末に向けどの病院も満床状態。やっと見つかったのが、隣区のある個人病院でした。「それが恐ろしく時代錯誤な病院で……」と、京子さんは語ります。

「院長が主治医になってくれたのですが、初診の説明のとき、『保証人はだれ? 精神科だからだれでも保証人になったり面会にきていいわけじゃない。事前登録した人だけです』、の一点張り。『私は同性愛者で、パートナーが対応します』とハッキリ言っても、『ほかに誰かいないの? お友だちじゃあねえ。家族は呼べないの?』と何度も何度も言われました」

精神病院の入院棟ということで、「家族」にこだわるのかもしれません。しかし、現に目の前の患者が自分はレズビアンであり、このパートナーが家族だと言っても頑として耳を傾けず、「お友だち」と言い続けるのはどうしたことでしょう。同性カップルということに、認識や理解はないのでしょうか?

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最終更新:9/4(火) 17:07
BuzzFeed Japan

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