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里見香奈女流名人、清水市代女流六段が語る 映画「泣き虫しょったんの奇跡」への思い

9/4(火) 16:02配信

スポーツ報知

 2005年にサラリーマンから転身した異色の棋士・瀬川晶司五段(48)の半生を描いた映画「泣き虫しょったんの奇跡」(主演・松田龍平、豊田利晃監督)がいよいよ7日に封切られる。一足早く作品を観賞した女流棋士による好評連載「女流棋士の感想戦」の最終回は、里見香奈女流名人(26)=女流王座、女流王将、倉敷藤花=と清水市代女流六段(49)の両巨頭がダブルで登場。作品への思いを語った。

【写真】舞台あいさつに出席した(前列左から)渋川清彦、加藤一二三・九段、松田龍平、永山絢斗、駒木根隆介、(後列左から)佐藤天彦名人、瀬川晶司五段、新井浩文、早乙女太一、豊田利晃監督

 里見香奈女流名人

 一度、挫折を経験された後に再び夢に挑戦された瀬川先生の思いがものすごく伝わってくる映画でした。
 映画はDVDを自宅で見たりすることはほとんどないのですが、映画館の雰囲気が好きで時々息抜きで見に行ったりします。比較的、洋画よりも邦画を見ることが多くて、特に実話に基づいて作られた作品が好きです。今年で言えば「8年越しの花嫁」はすごく心に残りました。現実に起きた話でありながら、意外性のある、ラストにどんでん返しがあるような映画にも引かれるので「しょったん」は、将棋というテーマを超えて印象に残る作品でした。
 映画で描かれる「奇跡」が現実に起きた2005年は、私は女流棋士になって1年目で、13歳でした。まだ周りを見る余裕はなくて、一般社会で何が起きているのかも全く知らなくて、実は瀬川先生の挑戦のこともあまり知らなかったんです。

 ずっと後になって、今回、映画を見させていただいて、初めて瀬川先生の挑戦がどのようなものであったかを初めて自分自身で実感することができました。だから、すごく新鮮でした。
 最も印象に残っているのは、奨励会で戦っている瀬川先生のことを、そっと見守ってくれているご両親やお兄さんの姿です。(同じように奨励会を経験した)私にはとてもリアリティーがあるシーンでした。一人ではできないことがあって、家族や周囲の支えがあって初めて成し遂げられることはあると思います。
 映画には、瀬川先生が年齢制限で退会していく姿も描かれています。将棋ファン以外の方にも「こんな世界があるんだ」と感じていただけたらと思いました。「聖の青春」も「3月のライオン」も素晴らしい将棋映画でしたけど「しょったん」は特に奨励会にスポットが当てられていたということもあって、私としてもとても心を動かされる作品です。多くの方々にご覧になっていただきたいと思います。(談)

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最終更新:9/4(火) 16:02
スポーツ報知