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[愛媛豪雨災害] 被災に負けん「竜王様」 西予・石久保集落 恒例祭り

9/4(火) 16:50配信

愛媛新聞ONLINE

 西日本豪雨で氾濫した肱川(宇和川)に面する愛媛県西予市野村町野村の石久保集落で2日夜、9月恒例の祭り「竜王様」があった。被災前は57世帯あり、住宅の改修が進む一方、地区外に引っ越したり今後について悩んだりする世帯も。参加者は普段通りの祭りをひととき楽しみ、流された竜王像の帰還も祝った。
 神社は肱川沿いの大きな岩の上にある。住民によると、四国カルストの大野ケ原地区にある竜王神社に関係があるとされ、雨乞いを願い百数十年前に建てられた。豪雨時にほこらや鳥居などが流失したが7月下旬、約40メートル下流の河原の茂みで、竜の首から上をかたどった像が見つかった。30年ほど前に住民がコンクリートや鋼管で制作したもので、祭りに合わせ引き上げることにした。
 午前中に地元の青年組織「若石会」の5、6人が担いで運び、元の位置に戻し周辺に残ったままの漂流物や草なども掃除した。夕方からは地元の集会所でいも炊きがあり、住民は世間話やじゃんけん大会などで、にぎやかに歓談。今後の復旧に向けて車座で真剣に話し合う場面もあった。
 自宅が被災し、妻の知人に集落から約2キロ離れた家を無償で貸してもらっている会社員の男性(65)は「畑の出来具合など、たわいもない話が楽しい。普通に暮らせるありがたさを痛感する。お金では取り戻せない喪失感や漠然とした不安で気がめいることがあり、祭りはうれしい」と感謝していた。
 石久保集落組長の井関貞徳さん(47)は「災害後にこんなに多くの人で盛り上がるとは正直思っていなかった。なじみ深い神社なので、像だけでも戻ってきて良かった。地域で少しずつ直していきたい」と話していた。

愛媛新聞社

最終更新:9/4(火) 16:50
愛媛新聞ONLINE