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対米貿易交渉でカナダの頑張りは日本にとってプラス?マイナス?

9/5(水) 6:31配信

FNN PRIME

アメリカに残された時間は1ヶ月

北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で、アメリカとカナダは、トランプ大統領が求めていた8月31日までの合意はならなかった。そのため、次の合意期限は9月末とされ、その直前に日米FFR協議~シンゾー・ドナルド会談が行われるという巡り合わせとなった。果たしてこの事は日本にとってプラスとなるのか、それともマイナスなのか?

(画像)こんな笑顔の裏で・・・

米加の合意期限が9月末とされる理由は、改定NAFTAに11月末に署名するのなら(トランプ大統領はそのつもりだ)改定NAFTAの正文を9月末までに議会に通知しなければならないためだ。単に合意するだけでなく、協定の文言まで詰める必要がある。アメリカの通商代表部(USTR)に残された時間は1ヵ月足らず。メキシコとの詰めの作業をしながら、カナダと合意しかつ詰めも行うのはなかなか大変だ。EUとの交渉もあるし、基本的には商務省の担当とはいえ中国との貿易摩擦関連の作業もある。

となると、もしアメリカが本気でカナダとの交渉を9月末までにまとめたいのなら、9月21日以降でおそらく25日とされる日米首脳会談までの間に行われる日本とのFFR協議に割ける時間も人員もおのずから限られるというものだ。なかなかタイトなスケジュールであり、アメリカ側の陣容が手薄となれば、基本的にアメリカの要求をかわし今回も逃げ切りを狙う日本にとってはプラスに働くと思われる。
頑張れカナダ!である。

カナダと合意してもしなくても『批准』は中間選挙次第

しかし、事はそんなに単純でもないようだ。
カナダが頑張りすぎると、トランプ大統領はさっさと交渉に見切りをつけ、カナダではなくて日本との交渉で戦果を挙げようとする可能性がある。要求をつり上げ簡単には妥結しそうにない。11月6日の中間選挙に間に合って「素晴らしい取引だ。俺だからできた」とアピールできることを最優先するからだ。その相手はカナダでも日本でも中国でも、あるいは複数の組み合わせでも構わない。多いに越したことはないがゼロという訳にはいかない。中国もカナダも長期化するのなら手っ取り早いのは日本だ。

その意味で日本政府の対応を難しくしているのは、NAFTA交渉が8月末に決着していればその結果を踏まえて日本側の譲歩を按排できたはずなのに、日米FFRを米加の交渉期限より前にやることになってしまったことだ。日本政府は前回のFFRで、9月のシンゾー・ドナルド会談の前に第2回FFRを行い結果を出す!と合意してしまっている。今さら延期はあり得ない。
日本政府は、カナダとアメリカの交渉がどういう進捗状況になっていて(特に自動車関税の脅しとそれへの対応)、カナダがどのような譲歩をする用意があり、トランプ大統領の満足度はどの程度になりそうかを必死になって情報収集する。そしてアメリカの要求をかわし逃げ切るための譲歩リストを準備してFFRに臨まざるを得ない。
カナダが頑張ると頑張ったでなかなか込み入ったことにもなるのだ。

もう一つ、カナダの頑張りでややこしい事になった点。
それは、改定NAFTAであれ、アメリカ・メキシコ2ヵ国FTAであれ、米議会による批准が微妙になってきていることだ。
改訂NAFTA署名は最速で11月30日なので、批准のための米議会の年内残り会期は10日間しか予定されていない。年明け1月3日に召集される新議会は11月6日の中間選挙の結果次第で与党共和党が多数を握っているとは限らない。もしも中間選挙で共和党が上下院の一つでも失ったら、いわゆる議会の『レイムダック・セッション』で批准するワンチャンスに突き進むしかない。例えば、会期が10日で足りないのならあと5日やそこらは無理やり延長可能で、それは上下両院の共和党指導部の取り組み方次第だ。

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最終更新:9/5(水) 6:31
FNN PRIME