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日本人にとってナショナリズムとは 映画「国家主義の誘惑」が問うもの(栗原佳子/新聞うずみ火)

9/6(木) 15:01配信

アジアプレス・ネットワーク

◆記録映像などで近現代の歴史を遡り、国内外の論客へのインタビューを交えた映画

フランス在住のドキュメンタリー映画監督、渡辺謙一さんの新作『国家主義の誘惑』が9月1日から大阪・十三の第七芸術劇場で上映されている。日本人にとってナショナリズムとは何なのか。記録映像などで近現代の歴史を遡り、国内外の論客へのインタビューを交え、日本社会を覆う政治の正体を問いかける(栗原佳子・新聞うずみ火)

渡辺監督は岩波映画出身。1997年にパリに移住、フランスや欧州のテレビ向けドキュメンタリーを制作してきた。一昨年、日本で公開された『天皇と軍隊』(2009年)は、天皇制や日米安保、自衛隊などの問題に正面から切り込み、話題を呼んだ。

その続編ともいえる『国家主義の誘惑』は『天皇と軍隊』と同様、フランスでテレビキュメンタリー作品として製作されたもの。全編ナレーションはフランス語。海外から俯瞰するからこそ見える日本社会の姿が描き出される。

渡辺監督は、いまの日本人の「政治に対する意識が醸し出す空気」を「国家主義の誘惑」と位置付ける。そして、国際関係史、地政学の観点から、日本が欧米列強に対抗し、帝国主義、軍国主義への道を歩んできた歴史を丁寧にひもといたうえで、いまを、開戦前の時代と重ね合わせる。撮影を始めたのは自民が大勝した一昨年7月の参院選だったという。作品の冒頭シーンでは、安倍首相が街頭演説で「今日、北朝鮮がミサイルを発射しました」とボルテージを上げる。

国内外の論客にもインタビューを重ねた。政治学者の白井聡さん、TBS『報道特集」キャスターの金平茂紀さん、経済評論家の宋文洲さん、沖縄のミュージシャン、喜納昌吉さん、沖縄・東村の米軍ヘリパッド建設工事に反対する伊佐真次さんら。国会議員では山本太郎さんと自民党の山田宏衆議院議員にもインタビューした。歴史学者のピエール・フランソワ・スイリ氏、バラク・クシュナー氏、ミカエル・リュッケン氏のインタビューからは、歴史を直視せず、アメリカにおもね、沖縄に犠牲を押しつける日本の姿が、世界のフィルターを通し映し出される。

渡辺監督にとって撮影中、衝撃的に受け止めたのが天皇のビデオメッセージだったという。安倍政権の改憲スケジュールを遅らせることにもなったと位置づける。「フランスの視聴者からも興味深く受けとめられた」という。

映画「国家主義の誘惑」は、9月21日まで大阪・第七芸術劇場、横浜シネマリン。9月9日~14日まで名古屋・シネマテーク、9月8日~21日まで京都シネマなどで上映。