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波乱の人生と画業を展望 東京都美術館10月8日まで藤田嗣治展

9/6(木) 11:43配信

カナロコ by 神奈川新聞

 画家、藤田嗣治(1886~1968年)の代表作といえば、乳白色の肌をした裸婦像。その裸婦像を10点以上もまとめて見られる「藤田嗣治展」が、東京・上野の東京都美術館で開催中だ。没後50年の今年、日本や欧米の主要美術館から集まった100点を超える作品が並ぶ。

 時代をたどると多様な画風に驚かされるが、藤田の作品に描かれ、人生を彩ったパートナーが代わるたびに変化したといえる。

 1913年、前年に結婚した妻とみを残し、単身渡仏。約20年にわたって滞在したパリでは、新たに妻となったフェルナンドやユキと呼んだリュシーをモデルに、輝くような白い肌の裸婦像を描き、売れっ子画家としてもてはやされた。そのパリを離れた際、一緒だったのはマドレーヌ。中南米を旅し、現地の人々や風俗を、濃厚な色彩で描いた熱気あふれる作品を手掛けている。

 第2次大戦中はやむなく帰国し、多くの芸術家が集まっていた藤野町(現相模原市緑区)に疎開した。ここで描いたとされる戦争画が、44年7月のサイパンでの玉砕を主題にした「サイパン島同胞臣節を全うす」だ。米軍に追い詰められた非戦闘員の女性や子ども、老人たちが次々に自決する悲惨な様子を、茶褐色の暗い大画面に描いた。

 戦後、戦争画に率先して関わったとして非難の矛先が向く。49年、米国経由でパリへの切符を入手した藤田は、羽田から旅立つ。

 滞在中のニューヨークで描いたのが「カフェ」。白い肌の人形のような女性が頰づえをつくノスタルジックなカフェ。パリへ戻りたいという藤田の熱い思いを表しているようだ。

 55年には5人目の妻、君代と共にフランス国籍を取得。カトリックの洗礼を受け、レオナール・フジタとして宗教画や子どもを主題にした作品に取り組んだ。

 波乱の人生と画業を展望できる大回顧展だ。

 10月8日まで。9月3、10、18、25日休館。一般1600円、専門学校・大学生1300円、高校生800円、65歳以上千円。問い合わせはハローダイヤル03(5777)8600。