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世界の薬都と連携し、診断薬製品化 射水の救急薬品工業とスイス・バーゼル大

9/9(日) 5:00配信

北日本新聞

 「世界の薬都」として知られるスイス・バーゼル地域と県との友好協定締結から10年目を迎え、産学連携によって医薬分野に新たな成果が生まれた。救急薬品工業(射水市戸破・小杉、稲田裕彦社長)がバーゼル大と口腔(こうくう)内フィルム剤を使った診断技術を確立した。口から服用する大半の医薬品に応用でき、副作用の軽減が見込まれる。同社は数年以内に診断薬として製品化を目指す。 (経済部・池亀慶輔)

 診断技術は、患者ごとに異なる代謝酵素の薬剤を分解する働きの強弱を効率的に測れる。人によって違う薬剤の毒性や効き目を一人一人予測でき、「テーラーメード医療」への応用が期待される。

 肝臓ではさまざまな代謝酵素が働いて薬剤の成分を分解しており、残りが血液によって目的の場所に運ばれて効果を出す。薬の解毒がうまくいかないと肝障害などの副作用を起こす。

 患者ごとに違う代謝酵素の働きを調べることで副作用を軽減できる。働きが強い場合は薬の効き目を出すために多く、弱い場合は分解できず副作用が出る恐れがあるため少なく、それぞれ投与する。患者ごとに投与量を調節し効き目を維持しながら副作用を抑えることができる。

 口腔内フィルム剤を口に含むと舌の上ですぐ溶ける。20~30分後に採血するだけで検査ができ、患者の負担も少ない。救急薬品工業は小児向けへの応用も検討する。

 同社は2016年にバーゼル大薬学部のイョルグ・フヴィラー教授と共同研究を始めた。同大付属病院で臨床試験を行い、ドイツ・ハイデルベルク大が診断薬の試験、分析などを担当した。フヴィラー教授は、口腔内フィルム剤が診断薬に最適な剤形だと判断した。

 同社は、海外の大手製薬企業からの受託などを視野に入れており、特に欧米の医療機関の需要を見込む。稲田社長は「口腔内フィルム剤の新たな価値を見いだせた。海外市場でニーズを探りたい」と話した。

 医薬品産業の先進地であるバーゼル地域とは県が09年に友好協定を結んだ。10年からは2年ごとに富山とバーゼルで交互に医薬品研究開発シンポジウムを開いている。 

 ■口腔内フィルム剤 救急薬品工業が貼り薬の技術を応用し、世界で初めて製品化した医薬品。小さなフィルム状で、口の中に入れて服用する。舌の上ですぐ溶けるタイプや、粘膜に貼り付けて長時間にわたり有効成分を放出するタイプがある。錠剤を飲み込むのが苦手な子供や高齢者も服用しやすい。

北日本新聞社

最終更新:9/9(日) 11:35
北日本新聞

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