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中高年を襲う原因不明の難病 国内で2万6000人が発症、決して他人事ではない

9/11(火) 16:56配信

夕刊フジ

 【暴走免疫!原因不明の難病「IgG4関連疾患」】

 季節の変わり目には体調を崩しやすい。ぜんそくなどの持病がひどくなることもある。たとえば、ぜんそくは、自己免疫が関わることで知られている。免疫は本来身を守る要となるが暴走した免疫は、ときに原因不明の病となって牙をむく。そのひとつが「IgG4関連疾患」だ。今世紀に命名されたこの病気は、一般的に認知度は低いが、現在、国内外で研究が盛んに行われている。5回にわたって実態に迫る。

 免疫は、外部から侵入した細菌やウイルスなどの敵から身を守るため、重要な働きをしている。敵と認識したウイルスを攻撃し、捕食して排除する一方、抗体を作りウイルス(抗原)にくっついて動きを封じ込め、感染できないように防御しつつ攻撃もする。この抗体は専門用語で免疫グロブリン(Ig)と呼ばれる。「Ig」にはいろいろな種類があり、中でも「IgE」は、気管支ぜんそくなどのアレルギーとの関りが深い。花粉症でスギが抗原かどうかの血液検査でも、「IgE」が調べられる。

 今回紹介するのは、アレルギーとは異なる「IgG」。血液中に存在する免疫グロブリンの半数以上を占め、感染防御で重要な働きをするが、暴走すると、どうやら病気に結びつくようなのだ。

 「IgGは1~4まで種類がありますが、本来、血中のIgG4の占める割合は少なく、感染防御反応としてはあまり役立っていないと考えられます。ところが、全身の諸臓器において、臓器の腫大(腫れ上がった状態)や組織が硬くなる線維化、コブのような腫瘤を形成する病気で、IgG4の値が異常に高くなっていることがわかったのです」

 こう説明するのは、がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科の神澤輝実副院長=顔写真。2003年、世界で初めて全身の臓器からIgG4を作り出す細胞を見いだし、「IgG4関連疾患」という病気の概念を明らかにした。以来、国内外の研究の後押しをしている。

 結果として、2011年には全身を包括的に診る診断基準が作成され、2015年には「IgG4関連疾患」が国の難病指定に加わった。

 「IgG4関連疾患は、ステロイド剤の治療が功を奏します。ただし、全身にさまざまな病変を引き起こすため、がんと間違えられて外科的処置が行われることもあります」

 この「IgG4関連疾患」は脳、目、唾液、甲状腺、肺、内臓、前立腺まで全身の病気として現れる。IgG4関連疾患では、炎症が起きて腫瘤ができるため、がんとの鑑別が不可欠だ。

 「IgG4値は血液検査で調べられますが、それだけでは不十分。画像診断や細胞診断などを駆使し、的確な診断と治療が不可欠です」

 IgG4関連疾患の患者数は国内で約2万6000人(推計)と少なくない。中高年男性に発症しやすいというから、決して他人事ではないのだ。(安達純子)

 ■「IgG4関連疾患」の主な病変

 □自己免疫性膵炎…膵臓が腫大して組織が変性し、黄疸や腹痛、血糖値の上昇などの症状がある

 □硬化性胆管炎…肝臓で作られる消化液が通る胆管の壁が肥厚して、通り道が狭くなり、黄疸や肝機能障害が起こる。自己免疫性膵炎と合併することが多い

 □唾液腺炎/唾液腺腫大…唾液腺が腫大することで悪性リンパ腫やがんと疑われることが多い

 □涙腺炎/涙腺腫大…涙を分泌する涙腺に炎症が起こり、まぶたなどが大きく膨らむ

最終更新:9/11(火) 18:54
夕刊フジ