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<東日本大震災7年半>進まぬ除染土処理 再利用事業頓挫も

9/11(火) 13:37配信

毎日新聞

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土の処理問題が、東日本大震災から7年半たっても進まない。福島県外の自治体では公園などでの仮置きが長期間続き、環境省は埋め立て処分などの判断を促すガイドライン策定を検討するが、住民の反発を恐れる自治体は対応に苦慮する。同県内では汚染土の再生利用を目指す実証事業が進む一方、反対運動で計画が頓挫する例も出てきた。

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 ◇県外「埋め立て処分」検討は16%

 除染で生じた汚染土は福島県外7県で推計約33万立方メートルあり、放射性物質汚染対処特措法上、汚染土の処分は当該自治体の役割とされる。環境省は今月3日、これらを保管する53市町村などへのアンケート結果を公表。埋め立て地を取得して最終処分を検討しているのは全体の約16%にあたる10自治体にとどまった。一方で、多くの自治体から「住民の不安感、拒絶感で合意は困難」とする意見が相次ぎ、処理に関する明確な判断を避けている。中には国や東電の施設内で埋め立て処分するよう求める自治体もあった。アンケート結果について同省の担当者は「安全性に対する住民の理解が進んでおらず、合意形成には基礎的な説明から必要になる」と話し、自治体の判断だけで処分を実行に移す難しさを認める。

 環境省は汚染土を地中に埋め立て、その際の放射線量や地下水への影響を調べる実験を8月から茨城県で始め、栃木県でも準備中だ。結果は年度内に専門家会議へ報告し、埋め立て方法や放射線量の基準などをまとめたガイドラインを自治体へ示す方針だ。

 ◇県内の再生利用、住民反対で頓挫

 一方、汚染土が最大2200万立方メートルに上ると推計される福島県では、第1原発周辺の双葉、大熊両町に環境省が設けた「中間貯蔵施設」での汚染土などの保管が昨年から本格化する。特措法に基づき、国は30年後に汚染土を県外へ搬出し、最終処分しなければならない。保管量を少しでも減らすため、同省は放射線量が低い汚染土を土木資材などへ活用したい考えだ。

 しかし、汚染土を盛り土や花畑の造成などに使うため、地元の同意を得て安全性を確かめる「実証事業」が進んでいるのは南相馬市と飯舘村だけ。道路の盛り土としての実証事業を始める予定だった二本松市では、農業や観光への風評被害を恐れる住民の反対もあり、同省は今年度の工事をあきらめ、業者との契約を解除する方針。計画は事実上、頓挫している。二本松市の計画について、環境省の担当者は「まだあきらめたわけではないが、住民に説明をすると『中間貯蔵施設に持って行くはずではないのか』などと批判される。30年後の県外処分も含め、息の長い取り組みであることを理解してもらうしかない」と話す。【五十嵐和大】

最終更新:9/11(火) 17:41
毎日新聞