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ニセの断水情報に問い合わせ300件 停電時にネット上に流布 北海道・帯広市

9/11(火) 14:30配信

十勝毎日新聞 電子版

 6日未明の胆振東部地震に伴う大規模停電は、テレビ視聴が限られたこともあり、情報収集にインターネット交流サイト(SNS)が役立った。一方、帯広市内では「断水する」「本震がくる」など事実と異なる“デマ”情報も拡散。市には断水の有無の問い合わせが300件以上あり、業務に支障が出た。ネットの功罪が改めて浮き彫りになった。

 ツイッターやフェイスブック、LINEなどのSNSでは、スーパーやガソリンスタンド、ホームセンターの営業状況など、地域に密着した情報が発信された。時間差があった停電解消についての情報も多く、SNSの呼び掛けで早期に電力が復旧した家庭に集まり、携帯電話充電に役立てた人もいた。

 ある市民(36)は「SNSで生活情報を入手できて助かった」と振り返る。5日夜から市内キャンプ場に宿泊し、6日未明の地震に気がついたが、大規模停電はSNSで知った。

 翌7日には、長引く停電の影響で冷蔵庫の中身を処分し、食料が底を突いた。その後、知人の投稿を頼りに営業している小売店やGSを訪れて食料を購入し、給油した。「SNSで情報を入手できなかったらと思うと、ぞっとする」と話した。

 一方で、事実と異なったり、真偽不明の情報も出回った。停電直後には、「帯広市内で断水する」との情報が急速に拡散。市には短時間で300件以上の問い合わせが寄せられ、職員が対応に追われた。業務に支障が出たため、市は6日午前9時半ごろに「根拠のないものであり、断水する予定はありません」との情報をホームページ(HP)に掲載。すると、問い合わせは収まった。幕別町も、断水のうわさをHPで否定した。

 今回の停電で西帯広の一部で水道が出づらくなったが、市内で断水はなかった。電動ポンプで水を供給する共同住宅で水道が出なくなった世帯があり、このような断片情報を基に拡散したとみられる。関係者は「不安を背景に、限られた情報を伝えようとしたのでは」とし、悪意はなかったと推測する。

 対応が後手に回った2年前の台風災害の反省から、市は「一番の不安は、情報がないこと」と認識し、迅速な情報提供に努めた。問い合わせが最も多かった携帯電話が充電できる場所を周知し、市が設置した一時休憩所の多くに充電設備を用意した。高坂克彦総務課長は「不確定な情報を食い止め、適切な情報を速やかに伝えることが大切と再認識した。市を含めた公的機関の確かな情報を入手してほしい」と呼び掛ける。

 ただ、もっともらしい情報が飛び交う中、混乱状態でその真偽を確かめるのは難しい側面がある。政党の公式ツイッターが「旭川市内約7割で断水の可能性がある」と発信し、その後デマだったと謝罪・削除する一幕もあった。

 「拡散希望 NTTの方からの情報です」との文言で、「携帯電話はあと4時間で使えなくなる」との情報も広まった。携帯電話基地局の非常用電源は数時間から数十時間のため、完全な間違いとは言い切れないが、臆測情報で不安が助長された人もいた。自衛隊からの情報とし、「地鳴りがする」「本震がくる」などと明らかに根拠のない情報もあった。

 2016年の熊本地震の際には、「動物園のライオンが逃げた」との虚偽情報を写真と共にツイッターで発信した男が、偽計業務妨害容疑で逮捕されている。SNSの利便性が高まる中、災害時に真偽不明の情報から身を守る必要も増しそうだ。