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北国の雪の上で生きる猫 たくましさとプライドと

9/11(火) 14:35配信

sippo

 今年の冬もまた小樽を訪ねた。この4年ほど冬になると毎年、この町を訪れる。その昔、ニシン漁で栄えた古い港町。今年もニシンが豊漁だったそうだ。小樽の猫は情が深く、一年ぶりに会いにきた私のことを覚えていてくれる。馴染みの猫が駆け寄ってきては、冷たい雪の上をコロコロと転がり、再会を喜んでくれる。冬毛で丸々とした姿はこの上なく可愛らしく、「生きている」ただそれだけの事がたまらなく嬉しく思う。

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 いつも必ず真っ先に行く場所がある。そこはメスを中心としたチームで構成され、コワモテ女ボスの三毛猫ニラミケさんを筆頭に愛嬌のある古参のサビ猫太陽ちゃんなど個性的なメンバーが揃う。

 日本海に面した小樽の空はコロコロと変わりやすく、青空が広がっていたと思ったら、鉛色した雪雲が押しよせ、あっという間に猛吹雪ということもしばしば。さっきまで、雪の上を楽しそうに走っていた猫達も慌てて身を寄せ合い寒さをしのぐ。そして吹雪が去った後、気丈に空に向かって顔をあげる姿に、北国で生きる猫のたくましさと力強さ、プライドを見る。

 今年の冬はニラミケさんと太陽ちゃんに会えなかった。猫はいつも静かにそっと姿を消す。どこかで生きていてくれたら、と願いながら、淋しさを抱えていたある日、たまたま訪れた港で、まだあどけなさが残る三毛とサビ柄の子猫がいた。その2匹が仲良く尻尾をたて真っ直ぐと向かって来て、私の足の間を8の字を描くようにすり寄ってきた。思わず、ニラミケさんと太陽ちゃん、ここにいたの? と言っていた。

 サビ猫を桃ちゃん、三毛猫を花ちゃん。ふたり合わせて、桃の花と名前をつけた。冬の寒空の下でも、桃ちゃんと花ちゃんに睨みつけるほどの太陽の光が降り注ぎますように。また大きく成長したあなた達に会いに小樽へ行こう。

(「猫びより」から、土肥美帆)

sippo(朝日新聞社)

最終更新:9/11(火) 16:22
sippo