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北海道地震 空港被災、訪日客に言葉の壁 スマホ充電・食料…情報足りず

9/12(水) 7:55配信

産経新聞

 北海道を襲った最大震度7の地震では、外国人観光客への対応が大きな課題として浮上した。空の玄関口、新千歳(ちとせ)空港が一時閉鎖に追い込まれるなど交通機能がまひし、情報が不足した外国人観光客が行き場を失った。台風21号でも関西国際空港が被災し、混乱がみられた。政府は2020年に訪日客を年間4千万人に引き上げる目標を掲げており、専門家は「災害時、外国人に重要な情報をスムーズに伝える仕組みが必要だ」と指摘している。

 新千歳空港では地震が発生した6日から7日まで国際線が運航できなかった。札幌市中心部の公園では、行き場を失った外国人観光客の姿が多くみられた。目立ったのは、言葉が通じないため必要な情報を得られないことへの不安やいらだち。「言葉の壁」だった。

 多くの外国人が頭を抱えたのは情報源であるスマートフォンの充電。7日、JR札幌駅で案内板を見つめていた中国人観光客の陳進(ちん・しん)さん(41)は日本語が分からず、英語も不得意だ。スマホが情報入手の生命線なのに電源確保に苦慮した。「電池が持つよう、慎重に使う」とこぼした。

 食料の入手先の情報への不満も相次いだ。ツアー旅行に参加した台湾の男性(56)は「日本は建物への防災意識はすごいが、情報は全然届かなかった。世界から取り残されたような感じだった」と話した。

 海上空港の関空も、4日に上陸した台風21号の影響でタンカーが連絡橋に衝突して一時孤立化。外国人観光客が空港職員らに詰め寄る姿もみられた。

 北海道国際課は地震当日の6日午後、外国人滞在者向けに英語、中国語、韓国語で対応する電話相談窓口を設置。札幌市も6カ所に観光客用避難所を設け、中国語や韓国語を話せるスタッフを置く対応を取った。市によると、ホームページや観光案内所、領事館などに開設を告知し、6日には最大約1500人が夜を明かした。関空を抱える大阪観光局も、英語や韓国語などに対応できる観光相談本部を設置した。

 ただ、自治体だけで外国人観光客に情報の周知を徹底させるのは難しく、混乱時に直接応対する人材も不足している。

 大阪府の松井一郎知事は「海外からのお客さんが情報を取りにくい状態が顕著だった」と指摘。札幌市の担当者も、日本語が理解できない外国人観光客を念頭に「よりきめ細かな対応が求められる。今後はツイッターの利用も検討したい」とした。

 訪日客は昨年、2869万人と過去最多を記録し、今年は3千万人超えが確実だ。日本は「災害大国」でもあり、緊急時の訪日客へのスムーズな情報提供に課題を残した。

 観光庁は、災害時の訪日客への初動対応を示したガイドラインを策定。観光・宿泊施設などに対し、日本語が理解できなかったり、災害経験がなかったりする外国人がパニックを起こさないよう迅速で丁寧な対応を取るよう求めている。

 都市防災に詳しい工学院大の久田嘉章(ひさだ・よしあき)教授は、自治体の役割について「住民を優先した防災計画をつくり、避難所の整備を中心に支援してきたが、観光客向けの対応は発展途上だ」と指摘。「東京五輪を控え、国や複数の自治体が連携する形で会員制交流サイト(SNS)などさまざまな媒体を通じ、災害情報を広める仕組み作りが求められている」と話している。

最終更新:9/12(水) 8:07
産経新聞