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「人と比べても仕方ない」 役者・松田龍平のブレない生き方

9/12(水) 7:10配信

ハフポスト日本版

15歳の時、巨匠・大島渚監督の遺作『御法度』で俳優デビューしてから20年が経った。シリアスな役から、ちょっとうだつの上がらない役まで幅広く演じ、日本映画界の中心的存在の1人となった俳優、松田龍平。

(写真)松田龍平さん

公開中の主演映画『泣き虫しょったんの奇跡』は、松田にとって「役者という仕事を振り返るきっかけ」になったという。そして、撮影現場は「つらかった」と本音も漏らした。

いつも飄々としていて、“軽やか“に生きているように見えるのに?「つらい」という言葉に込められた真意とは?松田龍平の仕事観についてインタビューした。

26歳で、将棋の道を絶たれた瀬川晶司五段

松田さんは同作で、実在するプロ棋士、瀬川晶司五段を演じた。

瀬川五段は、将棋界の掟を史上初めて覆した先駆者だ。

プロ棋士を養成する機関・新進棋士奨励会には、「26歳までに四段に昇格できなかった場合は退会」という厳しいルールがある。子どもの頃から将棋一筋だった瀬川五段は、この「26歳の壁」を乗り越えることができず、一度は将棋とさよならした。

その後はサラリーマンの道を歩むが、将棋にかける情熱は消えなかった。アマチュアとして活躍し、何人ものプロ棋士に勝利を挙げ、異例とも言えるプロへの編入試験を受けるチャンスが与えられた。

そして、35歳の夏、瀬川さんはサラリーマンからプロ棋士になった。

演じることで問い返した、自分自身のキャリア 「役者以外やってきていない」

「役者の世界には、将棋界のように年齢制限はないんですが、僕自身が今、当時の瀬川さんと同じ35歳で、15歳のころから役者をやってきています」

瀬川五段の生き様を演じた松田さんは、そう振り返る。

「だからこそ、瀬川さんの半生を、役者として生きてきた自分に重ねる気持ちになりました。瀬川さんは本当にすごいことを成し遂げた方です。プロ棋士を目指しながら大学に通って、サラリーマンを経て、アマチュアからプロの世界に入って。かっこいいですよね」

伝説の人の半生を演じることで、図らずも自分自身のキャリアを突きつけられたという。それが「(この作品を演じるのが)つらかった」という言葉につながった。

「ずっと役者をやってきましたが、この役を通して、もしかしたら何かいろいろやってこなかったことがあるんじゃないか。人として抜け落ちてる何かがあるんじゃないか、と、今更考えても仕方ないことを考えたりもしましたね」

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