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イスラエル・ブーム見込み、子会社を上場

9/12(水) 12:30配信

ニュースソクラ

【ニュースソクラ編集長インタビュー】ブロードバンドタワー、藤原洋社長に聞く(下)

 ーー貴社が整備している5G対応のデータセンターというのは、電力消費量の増加にも対応できるなど次世代型コンセプトなわけですが、他のデータセンター会社でもやっているのですか。(聞き手はニュースソクラ編集長、土屋直也)

 いややっていないです。それは日本企業全体についてもいえることですが、目先の売り上げ、利益を追いかけてしまう。現実に生きている。私どもは未来に生きる企業になりたいのでそれを意識しているのです。

 ーーユーザーはどんなところを想定しているのですか。

 たとえば、自動車産業が主要なユーザーになるとはみています。しかし、あらゆる製造業はモノをつくるだけでなくコネクティッドな産業に転換していきます。IoTを通じて製造したモノのメンテナンスをするわけですから、製造業からサービス産業へ転換していくことになります。ですから、自動車産業のみならず、あらゆる産業が、うちの新しいコンセプトのデータセンターのお客様だと考えています。

 ーーデータセンターを地価の高い東京の大手町に作るのはなぜですか。

 データセンターとして重要なのは、データが集まっているところに価値があるということです。日本では結果的に、大手町、次に大阪の堂島にデータが集まっています。

 ーー金融機関が集まっているからですか。

 結果的にトラフィックが集まっているのが大手町なのです。グーグル、アマゾン、マイクロソフトといった大規模データを集めているIT大手が、大手町でデータ交換するようになっています。インターネットエクスチェンジ(IX)が大手町に集中しているのです。データを吐き出したい社と集めたい社はIXの近くにいた方がいい。その方が早いですからね。

 ーー電子商取引(EC)支援の子会社ビービーエフ(BBF)の株式を昨年末に一部売却し、持ち分法適用会社から外されました。それが2018年6月期の売上高が急減している理由ですね。

 時代の変わり目に来ているので、次の投資をしていきたいと思って売却したのです。ECは大きなビジネスですが、私は成熟化してきていると考えています。それほど大きな変化が起こらないという点からみると、我々は次世代テクノロジーを追求する時を迎えたわけです。投資家の我々への期待は技術革新のリーダーであるはずなので、IoTという次の分野に移行したい。

 (BBFを)買われたヒト・コミュニケーションズという営業支援の会社は、これまでの人だけでなくコンピューターで支援する方法をBBF買収で手に入れられて、業績も上がっているようですね。売り買いのニーズがぴったりあった案件になりました。今年7月にはすべての株式を売却しました。

 ーー8月中に5G対応のデータセンターを立ち上げるわけですが、5Gは2020年以降の技術。少し早すぎませんか。

 5Gは10年ぐらいかかって通信インフラになっていく技術であり、新しいデータセンターは10年先を見据えた未来を先取りしたデータセンターを作っているのです。AIのDEEPラーニング用の高電力消費型で、GPUを大量に準備したデータセンターへのニーズは5Gが広範に利用されるようになる前からニーズはあります。すでにAIのそのニーズに対応しているといえます。

 ーー関連企業のインターネット総研のイスラエル現地法人をイスラエル証券取引所に上場しましたね。イスラエル上場は日本企業では初めてではないですか。

 科学技術の発信源としてイスラエルのブームが起こるとみているのです。いままでは米国だったのですが、それはクリエイティブな人が集まって活躍できる国が米国だったからです。そのシリコンバレーにとって代わろうとしているのがイスラエルと中国の深センです。

 規模では深セン、質ではイスラエルです。規模は別の企業に任せて私は質に興味があるからイスラエル。月に一度はイスラエルを訪問しています。

 テルアビブとハイファ、エルサレムにITのスタートアップがたくさんあります。1.7兆円でインテルに買収されたモービルアイはエルサレムの会社です。ハイファが強いのはイスラエル工科大学があるから。イスラエルの大学発ベンチャーの半分以上はイスラエル工科大学の出身者ですよ。

 ーーイスラエルにはお金も集まるのですか。

 イスラエルのベンチャーキャピタルの資金量は、昨年で5000億円ぐらい。人口ひとり当たりの資金量は米国の2倍で世界1位ですよ。日本は2000億円ぐらいで一人あたりでは世界26位です。米国は6兆円ですが、人口あたりではイスラエルの後塵を拝していて2位、3位はスウェーデンです。

 ユダヤ人の国なわけですが、人口は世界の0.3%に過ぎないのに、ノーベル賞受賞者はユダヤ人が3割です。もちろん国籍は米国ですが、いずれイスラエルからもこれまで以上に受賞者がでるようになるでしょう。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:9/12(水) 12:30
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