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共感してもらえない…アスペルガー症候群の夫を持つ漫画家が語る心身の不調「カサンドラ症候群」

9/12(水) 8:01配信

AbemaTIMES

 メディアでも耳にする機会の増えた「大人の発達障害」。その裏で苦悩する人が増えている。漫画家の野波ツナさんもその一人で、その一人で、発達障害のひとつ「アスペルガー症候群」の夫との生活を描いた作品は累計20万部を売り上げた。

 夫・アキラさんの趣味は音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、SNS。外見は、まじめそう、穏やか、ガツガツしてない、若く見える。内面は、相手の気持ちや周囲の反応を気にしない、言葉通りに受け取り裏が読めない、思ったことをストレートに言う、感情表現が苦手、複数のことを同時にできない、未来の見通しがつけられない、といったものだった。20人に1人の割合でいるという、アスペルガー症候群の特徴を持っていた。

 「ただ優しくて良い人だった。今思えば、共感というよりも、私に合わせてくれる人だった」。野波さんは結婚時のことをそう振り返る。

 「家の中に入ると、モードが切り替わって自分を解放してしまい、外にいる時のようには振る舞えなくなってしまう。私に対してはずっと“ですます調“。どうしても変えられないと言っていて、強いこだわりだった。また、結婚式に呼ばれ“平服で来てください“と言われた時に、意味を取り違えてセーターとGパンで行って恥をかいた。そういうことが沢山あった」。

 野波さんの漫画にも、次のようなシーンが登場する。1万円札を渡し、1000円以内で済む買い物を依頼したが、帰宅した夫から返ってきたお釣りは1000円ちょっと。頼んでもいない買い物をたくさんしてしまった。また、小学2年の子どもの寝かしつけを頼んだが、深夜1時頃に部屋を覗くと、なぜか2人ともテレビを見ていた。「子どもがまだ眠くないって言うから」と、TVを見せてしまっていた。

■「分かってもらえない」「共感してもらえない」…募る悩み

 雑誌編集者の夫の言動に、少し変わった部分があると感じてはいたものの、結婚から数年は幸せな生活を送り、2人の子どもにも恵まれた。しかし、社長に不満を抱く夫に対し冗談半分で退職を勧めてみたところ、翌日には本当に会社を辞めてきてしまったり、出産時、陣痛を訴える自分に「このステージ、もう少しでクリアだから待ってください」と言ったりするなど、「夫に分かってもらえない」「共感してもらえない」という悩みを抱えるようになっていった。

 心身共に辛くなってきたのは、2人目の子どもが生まれ、育児が大変になってきた時期だという。「言わないと助けてくれない。こんなに大変でバタバタしているのに、というところから段々始まった」。結婚14年目に入った頃、心身の不調を自覚するようになる。「2年間で10キロくらい痩せて、骨が浮いてきちゃった。それでも夫は心配してくれないし、こんなに悲しいのに誰にも言えないという思いが積もっていって、孤独だった。死にたいというか消えたい。私自身の存在がなくなってしまえば良いのに、とずっと思っていた」。

 「どれだけ訴えれば伝わるの?私と話したくないから黙っているの?」。漫画には、そんな悲痛な叫びも描かれている。

 3年後、通院した夫・アキラさんのアスペルガー症候群が発覚する。「アスペルガー症候群なんて聞いたこともなかった。子どもの頃に何か診断されたわけでもないし、普通に学校にも行っていた人なので、まさかそんなことあるわけないと。疑ってもいなかった。ある時、インターネットを見ていて、“これかもしれないよ“と話すと、夫は“僕のことが書いてある“と喜んだ。不思議に思っていた個性のことがわかったので、すっきりした。これで夫も自覚し、生活が変わるのかなと思ったが、結婚から17年も経っていたので、すぐには変わらなかった。期待してしまった分、揺り戻しで体調がさらに悪くなってしまった」。

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最終更新:9/12(水) 8:01
AbemaTIMES