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【D'ERLANGER インタビュー】“今を生きる”が暗黙の了解としてある

9/12(水) 10:02配信

OKMusic

再結成10周年の幕開けと終幕を飾った2本のライヴをパッケージしたライヴDVD&CD『D'ERLANGER REUNION 10TH ANNIVERSARY LIVE 2017-2018』。同作について話してもらう中で、D’ERLANGERというバンドのスタンスについてkyo(Vo)に語ってもらった。

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──まずは10周年のアニバーサリーはどのような1年でしたか?

単純に“たくさんお祝いをしてもらって嬉しいな”という気持ちのまま1年が過ぎていきましたね。盛りだくさんでしたしね。初めての場所でしたけど、幕開けの豊洲PIT(2017年4月22日)ではお祝いムードがすごく漂っていて…スタッフに変な緊張感があったりとか(笑)。トリビュート(2017年9月発表の『D'ERLANGER TRIBUTE ALBUM ~Stairway to Heaven~』)は自画自賛になりますけど、なかなかここまでのアーティストを集めたものは作れないだろうなと。あと、長らくやってなかった『ABSTINENCE'S DOOR』っていう主催のイベントもできたり、全国ツアーも大きいのを2本やったし。そして、アルバム『J’aime La Vie』も出しましたしね。

──濃厚な一年ですね。

そうですね。やっぱり2017年4月22日の豊洲PITが再結成10周年のお祝い感が一番強かったかな。そこからアルバムが出て、いつもの活動プラスお祝いしてくれている感じが重なっていくような一年だったのかなと思いますね。

──このタイミングでちゃんとオリジナルアルバムを出すっていうのがD'ERLANGERらしいなと思いました。

再結成をした時から“今を生きる”みたいなのが暗黙の了解としてメンバーの中にあって…11年前の日比谷野外大音楽堂(2007年4月22日)の時はあえて古い曲を中心にやったんですけど、大袈裟に言うと僕たちのプライドみたいなところがそういうところに表れているのかなとも思うし…やっぱり今現在のD'ERLANGERが一番カッコ良いと思ってやってますからね。そういう意味では再結成から10年が経って、お祝いしてもらえた年に最高傑作と言えるアルバムが出せたというのはすごく良かったと思うし、これも大袈裟に言えば運命だったのかなと思います。

──幕開けの豊洲PIT公演はどんなライヴでしたか?

同じメンバーで10年というのは全員が初めてのことなんですね。キャリアはあるので、それこそ“デビュー20何周年”とか“結成何周年”みたいなのがいっぱい付いてくるんですけど、やっぱり間の17年が欠けているので“いいのかな?”っていう、ちょっとこっ恥ずかしいものがずっとあったんですよ。でも、“再結成10周年”というのは胸を張って言えることなので、その嬉しさみたいなのを噛み締めて豊洲PITに行った記憶はあります。いつもより興奮している自分がいる感覚はあったし…それは僕だけじゃなくて、他のメンバーもそうだし、スタッフもそうだし、お客さんもそうだし。その一体感が良い緊張感、わくわくのほうにいったというのはすごく覚えてますね。

──この日のセトリが「Kain」~「dummy blue」で始まって「バライロノセカイ-Le monde de la rose-」に終わるという、再結成後のアルバム『LAZZARO』のオープニング曲から始まって最新の曲で締め括る流れが美しいなと。

今だから言えるんですけど、実は一番最後に「MOON AND THE MEMORIES」を入れていたんです。だた、いざやってみたら“本編終えてから長くない?”みたいな。僕たちの精神的な満足度というところもあって、その時の勘で流れを重視したというか。その時には『J’aime La Vie』も出来上がっていて、新しい曲をやることも全然できたんですけど、そのあとから始まる10周年目からの新しいツアーは『J’aime La Vie』中心でいこうというのがあったんで。でも、できてるんだからやりたいというところで、MVにもなった「バライロノセカイ-Le monde de la rose-」はやろうってことになったんです。初めてやったのにすげぇ手応えがあって、気持ち良く終われましたね。

──ファンがイメージするD'ERLANGERのど真ん中の曲であり、なおかつ新鮮さもある曲ですからね。

なるほどね。良かったです、手応えがあって。再結成してからの数年というのは金魚鉢の金魚を眺められるような感じだったというか。それはバンドの持っている雰囲気だったり、イメージ的なものもあったかもしれないんですけど、そこに苦しんだ時期もあったんですよ。そんな中でどんどんスタイルを…僕なんかはMCひとつをとっても11年前と今とでは全然違うし、そういう部分で肉感的に築き上げてきたところがあって。その10周年というひとつの区切りの時に、「バライロノセカイ-Le monde de la rose-」みたいな初めての曲でダイレクトに手応えを感じられたのは感激するくらい嬉しかったですね。

──10周年の終幕を飾った、1年後(2018年4月22日)の豊洲PIT公演はどうでしたか?

これは正直言ってアニバーサリーというよりは、『J’aime La Vie』を出して、2回目の全国ツアーのファイナルだったので、そっちの意識のほうが強かったですね。それこそ“今を生きるD'ERLANGERの最先端の部分を聴かせたい”という。ぶっちゃけて言えば、お祭り感は2017年のほうがあったと思います。

──正直言って、この日はお祭り感はなかったです(笑)。

ははは。そうですよね(笑)。

──それはセトリ的にも。

僕たちの今やりたいD'ERLANGERというのがそこにあるんですよね。“1年前にお祭りっぽいのをやってるからいいじゃん。今のD'ERLANGERを感じてよ”みたいなところが。別にミーティングでそうしようって決めたわけではないんで、気持ちの中にみんながしっかりと持っている部分なのかな。そういう意識は強いのかなと思います。

──今回のCDには新曲「哀」が入っているわけですが、これは『J’aime La Vie』以降の楽曲になるんですか?

そうです。5月にスタートした全国ツアー『D'ERLANGER TOUR 2018 "in the Beginning..."』のセミファイナルの名古屋から東京までちょっと空いたんで、その間に作りました。

──このタイミングで出す新曲として、どういうものを提示しようというのがあったのですか? って、それは作曲したCIPHERさんが考えていたことですかね。

ぶっちゃけると、僕らもCIPHERから出てくるものを楽しみにしているんですよ(笑)。だから、“どういうものが出てくるのかな”ってところで受け止めて、それをメンバーでプリプロとかしながらスタジオでじっくりかたちにしていくんですけど、その過程を楽しむというのはいつもと変わらなかったです。結局ここのオクターブに落ち着いたんですけど、最初CIPHERはもうちょっとシャウト気味なものをイメージしていたんだけど、オクターブ上で歌うには中々厳しいキーで。それでオクターブ下で歌ってみようってことになったら、特にAメロの浮遊感とかのはまりが凄く良かったんですよ。だから、みんなで作っていく中で変わっていったというか。歌詞は今までのイメージにないようなものをリクエストされましたね。世界観とか全てをガラッと変えてってわけではないんですけど、今までとは違う感じ、最初の印象とかで”ん?”となるものが欲しいって。

──歌詞は楽曲の世界を描いていったのですか?

それはいつもそうですね。本を読んだ時とかにパッと絵が浮かんだりするとメモってたりしているんですけど、その一番手前にあったイメージと楽曲がすごく近くて。僕の歌詞には“月”という言葉が多いと思うんですけど、それを使ってしまうと今までの印象になるだろうから別の表現の仕方で届けるとか、そういったチャレンジもしましたね。

──勘繰りすぎたかもしれないですけど、《最期にこの薔薇を降らせて終わりましょう》というフレーズがあったので、“もう10周年は終わり。また新しくやるんだ”という意思みたいなものを感じたのですが。

でもね、そこはそういうふうに勘繰らせたいところであったりはします。“え!?”って意味深なふうに。ポジティブもネガティブも引っくるめて、あえて言いますけど、僕らもどうなるか分からないっていうところでやっている感じがすごくあって。だから、どんどん出し惜しみしなくなっているのはあるかな。でも、まだD'ERLANGERでやりたいことはたくさんありますから。

──あと、今回の映像を観ていても思ったのですが、kyoさんって歌っている時にお客さんに背中を向けてること多くないですか?

ははは。特に「BABY」で言われるんですけど、なんかそうなっちゃうんですよね。誤解を生むかもしれないけど、バンドだけを感じてやっていたいというか、そこから生まれたものがお客さんに届けばいいなというのがあるんです。例えばキメだったりするところって独特な呼吸があるんですよ。一瞬のブレスだったりとか、そういったものがガン!ってなった時がすごく気持ち良いんですよ、このバンドって。そこを逃したくないから、そういう瞬間で後ろを向くんじゃないかなって。

──いきなりアドリブを入れてくるバンドですしね(笑)。

ほんとに驚きますけどね(笑)。若い時から“バンドってそれぞれが4分の1なんだ”ということを言ってきたし、それをすごく意識してきた音楽人生だったと思うけど、その意味が今ようやく分かってきているのかなと自分で思う時があって。多分、それが心地良いからなんですよね。やっとそこになれたというか。

──ライヴを観ていても思いますが、あのフロントに立てるヴォーカルはそうそういないと思うのですが。

どうなんですかね? って“でしょ?”って思いながらですけど(笑)。でも、僕にとってはもう普通なんですよ。だから、ちょっと厄介で。他の音で歌った時に満足度っていうのが難しい。それがD'ERLANGERというバンドにこだわってやっている、この4人の答えなのかなと思いますけどね。

──では、この10年でkyoさんの中でのD'ERLANGERの存在も変わりました?

憧れから身体の一部になったくらいの差はありますね。一度解散をしてもう一度やるってなった時の想い…僕はやっていた時はD'ERLANGERのシンガーだったんだけど、やってなかった時はD'ERLANGERのファンだったと思うんですよ。ずっと自分の身体のどこかに生きているものだったので。それが11年前…音を出したのは12年くらい前になるのかな。もう一度やろうってなった時にすごく自然に溶け込めたんです。だから、最初の頃は憧れて“D'ERLANGEのkyoとしてこうでありたい”だったけど、それがどんどん自分の肉体になっていって、今は声を出せばD'ERLANGERの言葉になるっていうところに近付けてきているっていうか。

──例えばDIE IN CRIESはkyoさんのソロプロジェクトから始まったし、プロジェクト的なバンドって感じがあって。BUGはもっとラフというか、高校生がバンドを組むような感じで始まった印象で。でも、D'ERLANGERはそれらとは違うというか。

それはね、僕も分からないんですよ。ただ、さっきも言った4分の1だったり、自分の身体の一部というのって、特にDIE IN CRIESと比べると分かるかもしれないけど、あの時は自分が前に立っていく意識が強かったと思うんです。良い意味でも悪い意味でもワンマンに近いところがあったと思うんですね。そういう立ち位置の違いはあるのかな。気持ちというか、考えの置き方が違うのかもしれない。ただ、D'ERLANGERで10年やっていると、さっきから言っている通り、あの音やあの呼吸だったり、あの感じが自分にとってはすごく当たり前で普通のことなので、もう分からないですよね。

──あの緊張感の中で歌うのが普通になっていると。

そうですね(笑)。今はあんまりやらないけど、「an aphrodisac」の戻ってくるところとかは一切決め事がないですからね。なんとなくの空気で“そろそろ終わるか”とか“俺がシャウト入れるね”って。ああいう緊張感はそれこそ20代の時は本当に緊張でしたけど、今はそれをすげぇ楽しんでいるんですよ。

──だから、背中を向けて歌ってしまうんですよ(笑)。

確かに(笑)。ああいう時ってみんなのテンションが上がっていくから、それって音に表れるじゃないですか。そうすると自然と引っ張られるんですよ。食い食われの感じがバンドのエネルギーとして大きくなっていくから。もうね、最前列で観ながら歌っているようなもんですよ(笑)。

──そんなD'ERLANGERも11年目に突入しているわけですが、今のバンドのモードってどんな感じですか?

夏に『The Time Machine Never Destroyed 2018』で遊んだので…。

──Justy-NastyとTHE SLUT BANKSと一緒にね。

相手はRODとTUSKなんで燃えましたし、面白かったですね。今回、大阪と東京がくっ付いちゃってたので、わりと過酷なスケジュールだったせいもあるのか、珍しく東京公演の翌日に声が枯れたんですよ。知らぬ間に力んでるんだなって。まだまだ青いなって(笑)。自分たちの長いキャリアの中でああいうふに遊び心を持ちながら演って、お客さんも楽しんでくれる…そういった意味では、あれがあったからDIE IN CRIESの話も“あの頃はこうだったんじゃないかな”ってできたりするんだと思いますね。DIE IN CRIESの曲もやったんですけど、“こんなことをあの年齢でやってたんだよな”って思ったりもして、いいメンバーだったんだなって。こういうことって結果的に自分にプラスになると思うんですよ。だから、全部それを経験として、力として、進めていけるようになりたいなとは思いますね。まぁ、モード的には常に“攻め”ですから、このバンド(笑)。

──もうすぐ『D'ERLANGER SLASH DANCE TOUR 2018』が始まりますが、どんなツアーになりそうですか?

9月からのツアーはまだ何も決めていないですけど、集まった時の空気感で決まっていくと思うんですよね。新曲もやるのかな。

──「哀」はしないと。

ははは。多分やると思うけど、そういった新しいものもあったりとか、新しいところに向かおうという想いもあるので楽しみですね。ツアーとしては終わった時に答えが出ると思うんですけど、一本一本やる中で答えがあって、いろんなものが見つかって、そこでトライしていくというところで楽しめたらと思っています。

取材:土内 昇

OKMusic編集部

最終更新:9/19(水) 15:31
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