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北海道地震1週間 緊急策実施も謎残る全域停電 検証に時間

9/14(金) 7:15配信

SankeiBiz

 北海道で発生した最大震度7の地震から13日で1週間が経過した。地震直後、道内全域約295万戸が停電する「ブラックアウト」に陥ったが、大半の地域で電力供給は復旧している。国内初のブラックアウトは道内最大の火力発電所の停止が引き金となった。地震で乱れた電力の需給バランスは北海道電力による緊急避難的な停電措置や本州からの送電拡大でいったん持ち直したが、再び崩れ、全域停電に至った。北海道以外の地域は大丈夫なのか。

 ◆負荷遮断試み

 地震は6日午前3時7分に発生。震源近くの苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(厚真町)では、1分後に2号機(出力60万キロワット)と4号機(70万キロワット)が緊急停止した。これを受け、北海道と本州との間にある「連系線」と呼ぶ送電設備は、発生前に10万キロワットだった本州からの送電が最大容量の60万キロワットに拡大した。

 電力はためることができず、需要と供給を常に一致させる必要がある。需給バランスが崩れると、他の発電所は設備の故障を避けようと自動停止するため、大規模な停電につながる。

 このため、一部の顧客や地域への電力供給を止めて需給バランスを整える「負荷遮断」という手法がある。東京電力は東日本大震災の発生時に供給力が急減したが、この手法を用いてブラックアウトを免れた。北電も今回、負荷遮断を試みた。

 こうした対応でいったんは需給バランスを取り戻したが、何らかの原因で需給バランスが再び崩れ、3時25分に1号機(35万キロワット)が停止。道内で他に動いていた3基の火力もほぼ同時に停止し、本州からの送電もできなくなり全域停電に至った。

 交流の電気は一定の周期で流れが変わり、その周期を1秒間に繰り返す回数が周波数。関係者によると、周波数の波形をみると、需給バランスは「地震発生直後に大きく乱れ、その後にほぼ元に戻ったが、再びふらつき、最終的にブラックアウトに至った」という。

 需給バランスがなぜ再び崩壊したのか、現段階では判然としない。経済産業省は「速やかに検証プロセスの準備に着手したい」(幹部)として、北電と全国の需給調整を担う電力広域的運営推進機関に周波数などのデータ提出を指示。専門家を交えた解析を進める。

 横浜国立大学の大山力教授は「日本は需給バランスを欠いた地域を他の電力網から切り離しやすく、ブラックアウトが起こりにくいとされていた」とする一方で、今回のブラックアウトを踏まえ「北海道には直接は当てはまらないものだったかもしれない」と話す。

 ◆他地域でも可能性

 大阪電気通信大学の伊与田功教授は「東電や関西電力、中部電力は大規模発電所を多く持ち、供給力に占める一つの発電所の割合が低く、それが突然停止してもブラックアウトにつながる可能性は低い」とみる。

 一方、ピーク時の電力需要が北電と同規模の四国電力は「本州との連系線は2ルートあり、これが健全なら本州から大容量の電力を受電できる」という。四国は南海トラフ巨大地震への懸念もあるが、瀬戸内海側にも発電所を置いている。

 ただ、大手電力関係者は「他でも起きないとは断言できない」という。大山教授は「大災害を想定し、実際に起きたときにどう対応するのか、より詳細に考えるしかない」と話した。(森田晶宏)

最終更新:9/14(金) 7:15
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