ここから本文です

日銀政策修正、収益改善乏しく 金融業界、さらなる見直しに期待

9/14(金) 7:15配信

SankeiBiz

 日銀が金融緩和政策を7月末に修正し、長期金利の上昇を一定程度容認したことについて、金融業界は収益の改善につながっていないとして、さらなる見直しの必要性をにじませる。一方、日銀は大規模緩和の副作用によって銀行の金融システムに現時点で大きな問題が生じているとは考えておらず、両者の温度差が浮き彫りになっている。

 「長期金利はなお極めて低い水準だ。累積的な影響へのモニタリングレベルを一段と上げる」

 全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は13日の会見でこう述べ、副作用に一定の配慮がなされたと受け止めつつ、緩和の長期化で副作用が累積することへの危機感を示した。

 日銀は今回の政策修正で従来は0%から上下0.1%程度で調節していた長期金利の変動幅を倍程度に広げた。長期金利を抑える政策を導入した結果、激減した国債市場の取引を回復させるのが狙いだ。

 だが、金融機関にとっては「経営への影響はほとんどない」(大手銀幹部)。政策修正で国債市場の取引は一定程度活発になったが、長期金利は0.1%前後の狭い範囲で推移し、金融機関の利ざや(貸出金利と預金金利の差)は改善していないからだ。

 超低金利で金融機関の収益環境は厳しい。2018年3月期に大手銀行5グループの本業のもうけを示す業務純益は合計で前期と比べ約2割減少。上場する地方銀行は全体の6割強の49社が減益か赤字だった。

 全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)も12日の会見で「もう少し金利が動くようにしてほしい」と金利変動幅のさらなる拡大を求めた。消費税増税の影響の試算などが固まり、景気の堅調さが今後も続くことを見通せるようになれば、日銀が動いてくれるとの期待感がある。

 だが、日銀にとって金融政策はあくまで物価目標2%を実現するための手段であって「金融機関の収益のために手を打つことはない」との意見が大勢だ。収益低迷は低金利よりもむしろ既存のビジネスモデルが抱える構造問題が主因で、自助努力が必要とみる。

 もっとも「リスクが顕在化してからでは手遅れだ」との意見も日銀内にあり、副作用を注視する姿勢は変わらない。緩和の副作用がさらに顕在化したり、物価が2%に近づくなどして超低金利を続ける必要性が低下すれば、再び政策修正が議論される可能性はある。(万福博之)

最終更新:9/14(金) 7:15
SankeiBiz