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北海道地震の朝、僕は生まれた 母「導かれた感じする」

9/13(木) 10:25配信

朝日新聞デジタル

 北海道で未明に大地震が起きた直後、停電した病院で、多くの人に励まされて生まれた命があった。子どもたちの笑顔を取り戻そうと、支える人たちもいる。


 6日午前3時過ぎ、震度5強を記録した札幌市北区の札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル。初産を控えた山田亜希さん(39)は、若い助産師に車いすを押してもらって出産のための部屋へ向かっていた。

 部屋に入ったちょうどその時、縦揺れに襲われた。

 「何が起きたの?」。そう思ったと同時に、助産師が山田さんに覆いかぶさり、「大丈夫、大丈夫」と声をかけた。

 院内は直後に停電。非常用電源に切り替わって廊下や病室が薄暗くなったが、部屋は通常の明かりが確保された。何人もの助産師に励まされ、夫に体を支えられ、山田さんは出産に集中した。

 午前5時43分、「おぎゃー」という元気な声が響いた。「よく生まれてきたね」。山田さんは小さな体に声をかけた。涙が出てきた。

 長男には、隼大(しゅんた)と名付けた。眉毛がりりしく、母乳をよく飲む。「地震も、その前の台風も乗り越えて生まれてきた。器の大きな人になってほしい」と願う。

 いま振り返ると、車いすに乗っていてよかったと思う。「陣痛で痛いし、揺れているし、赤ちゃんは気になるし。でも、導かれた感じがする」

 看護師長の佐々木理恵さん(39)は「何があるか、わからないのがお産。スタッフはみんな心得ているし、落ち着いて臨めたと思う」と話す。

 東京在住で、里帰り出産だった山田さん。実母は地震のため、出産時には駆けつけられなかったが、「たくましい子に育つと思います」とほほえむ。

 11日、両親と隼大ちゃんとともに病院を後にした。(青木美希)

朝日新聞社