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【THE BACK HORN インタビュー】境界線を越えて、今を懸命に生きていく

9/13(木) 12:02配信

OKMusic

『君の膵臓をたべたい』などで知られる小説家・住野よるとのコラボ企画をスタートさせたTHE BACK HORN。その第一弾作品となるコラボ曲「ハナレバナレ」について、さらに結成20周年のアニバーサリー作品第3弾としてリリースされるインディーズ時代の音源を再録した『ALL INDIES THE BACK HORN』について、メンバー全員に語ってもらった。

THE BACK HORN インタビューのその他の写真

──まずは、新曲の「ハナレバナレ」について聞かせてください。コラボプロジェクト公式サイトも拝見したのですが、住野さんはTHE BACK HORNのことが本当に大好きみたいですね。

菅波:ありがたいことに、すごい聴き込んでくれてました。『マニアックヘブン』(THE BACK HORNがマニアックな楽曲を演奏し、GALLERY企画もある特別なライヴ)でやるような曲も全部好きなくらい、熱心なファンでいて下さっているみたいで!

──今回の話が具体的に進み始めた時期は?

岡峰:今年に入ってからだよね?

菅波:うん。プロットより前の段階から住野さんと打ち合わせを頻繁にやっていきました。“こんな話にしたいと思ってるんですよね”という感じで大まかなストーリーを共有して、それを昇華するように俺らは音楽を作って、住野さんは小説を書くっていう。途中の原稿をもらったりして、リアルタイムで刺激し合うんです。

松田:出来上がってるものに対して応えるコラボが一般的ですが、一緒に固めていく始まり方は俺らも初めての経験で、追加原稿が届くのがもう楽しくて! そこから“さぁ、どうするか?”と悩むわけだけど(笑)。音楽と小説で描く表現の融合がどういうかたちで決着するのか、ぜひ見てほしいですね。『この気持ちもいつか忘れる』(9月20日より『週刊新潮』で連載)はすごく面白いので。

菅波:小説はWEB掲載もされるから読んでほしいです! 楽曲と物語を行ったり来たりすると、聴こえ方が変わると思いますね。

山田:「ハナレバナレ」はTHE BACK HORNの新曲としてしっかり歌ってます。寄り添おうとしなくても十分リンクするというか。俺らと住野さんに自然と近いものがある。それを信じたところからこのプロジェクトは始まってるんじゃないかなと、俺は勝手に思ってるんで。《聴かせてよ君の物語を》のあたりは新鮮ですね。ハモリを重ねて何者か分からない感じの声にしたらもっとイメージが膨らむんじゃないかとか、メンバーで話してああなりました。

岡峰:スリリングさはありつつ、しっかりと届くようにはしてないといけないじゃないですか。その狭間を突く感じが自分的にはチャレンジだったと思います。

菅波:ティザー映像に出てくる台詞があるんですけど、あの内面でグツグツしてるような世の中への対峙の仕方は、ギターをイメージする上で意識しました。尖ってて斜に構えたところもあれば、真っ直ぐな想いも入り混じった感じ。歌詞もそう書けた気がします。

──なんか「ハナレバナレ」の世界観って、今回のアルバム『ALL INDIES THE BACK HORN』の1曲目の「ピンクソーダ」につながる感じがしました。

全員:おおー!

──《まだ生きているか》や《こんな世界なんて 爆弾で吹き飛ばしちまえ》とか悶々としたトーンも近いし、あのティザーのサイレンがどっちの曲でも鳴ってるみたいに思えて。

菅波:へえ~! 面白い解釈ですね。

山田:言ったら、一番新しいTHE BACK HORNと一番古いTHE BACK HORNか。それがサイレンを介してつながる感じは確かにあるかも。“危機感を持って生きなさい”ってわけでもないけど、何が起こるか本当に分からない世界だし、その中で今を懸命に生きていくことを俺たちはずっと歌ってるから、サイレンの音がしっくりくるのかな。“何かしなきゃ!”みたいな気持ちはどっちの曲にも存在してますしね。

──今回のインディー時代の音源を再録リリースする理由というのは?

菅波:光舟が入ったTHE BACK HORNで録りたい気持ちもあったし、オリジナルはもう廃盤になっちゃってるし。だけど、楽曲はライヴで演奏してて、これからもやっていきたいですしね。今の俺らが好きなソリッドな音像で蘇らせられたと思います。

岡峰:もともとのベースラインのいいところは活かして、自分の味が加えられる箇所は付け加えて。いい曲なのに音質的にもったいないなと思う部分はあったので、録り直せて良かったです。

山田:もっときれいにメロディーを聴かせるべきところで、当時は衝動が強く出すぎてた曲なんかも多いんです。それはそれで若い時ならではのリアルで美しいかたちだと思うけど、再録にあたっては曲の向かいたい方向を改めて考えて歌いましたね。「走る丘」「茜空」なんかは『マニアックヘブン』で数回演奏したくらいじゃない?

松田:そうかもね。20年いろいろ積み重ねてきた経験があるけど、再録する時は“どの引き出しを開けようか?”って感じでもないんですよ。今の俺らが好きなモードでアレンジし直せば、絶対に良くなると思うので。逆に言えば、その自信がなければこのアルバムは出せないですよね。

菅波:今の自分が表現できる全てを使って昔の楽曲たちを輝かせたい欲も多少はあったかな。いろんな弾き方を試しつつ。「ピンクソーダ」「カラス」「魚雷」はブースに入って、アンプの前で暴れながら弾いたり…イントロがピーッて鳴ってるやつはそうですね(笑)。「さらば、あの日」はポップなサビになるようにアコギをエッセンス的に重ねたり、バッキングを整理してみたりしました。

──THE BACK HORNの初期って暮れや秋を思わせる曲が多いですよね。

菅波:分かる! “こいつら、だいたい夕方に曲作ってんだろうな”って感じ(笑)。

山田:夕方か真夜中な(笑)。

菅波:朝の気持ち良さとか、きっとこの頃はまだまだ分からなかったんですよ。

岡峰:わはははは!(笑)

──過去の自分たちをうまく見つめ直せたと?

菅波:そうですね。ベテラン云々なんて突破して、若い人にも同年代にも刺さるロックがやれる気がしてきてます。「ハナレバナレ」の歌詞のように境界線を越えて。ファンレターとかでも“生きる力をもらえます”や“THE BACK HORNのライヴは生命力を感じられるところが好きです”と言ってもらえることが多いし、この4人でやると宿るエネルギーみたいなものは間違いなくあるってことは、今回のアルバムを作ってても思ったから。それを武器に、さらに突き進んでいきたいですね。

取材:田山雄士

OKMusic編集部

最終更新:9/19(水) 12:16
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