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「生物学的に女性ではない」と言われた銀メダリスト、私たちはどう向き合えば? 彼女が語ってくれたこと

9/24(月) 7:00配信

withnews

 女性として生きてきたのに、突然「あなたは女性ではない」と言われたら……。陸上競技の世界で、そんな問題を巡る議論が過熱しています。アジア大会の銀メダリストを通して見えてきたのは、社会的な性別(ジェンダー)だけでなく、生物学的な性別もあいまいな基準の下にあるという現実でした。(朝日新聞ヤンゴン支局長兼アジア総局員・染田屋竜太)

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アジア大会で銀メダル

 「タイミングの取り方に集中するために目を閉じて走りました。目を開いたら、レースは終わっていた。みんなが『メダルとれたよ』と声をかけてくれましたが、電光掲示板の成績を見るまで、信じられなかった」

 8月29日、インドネシア・ジャカルタであったアジア大会の女子100メートル走。11秒32のタイムで銀メダルを手にしたインドのデュティ・チャンド選手(22)は、うれしそうに報道陣に話しました。

 アジア大会での勝利は格別なものでした。前回、2014年の仁川大会は出場できなかったからです。

 チャンド選手は2012年、18歳未満のインド国内の大会で優勝し、頭角を現します。翌年にはアジア陸上大会の女子200メートルで銅メダルに輝き、世界ユースの100メートルでも決勝に残りました。

 しかし、その名が知られるようになった2014年、「女子選手として認めるべきではない」との声が上がり始めます。生まれつき、一般的な女性よりも血中の男性ホルモン(テストステロン)の値が高い体質だったのです。

 生物学的に両性の特徴を持った人は、一定の割合で存在しています。

 インドの陸上連盟はこの年にあったアジア大会への代表チームから、チャンド選手を除外しました。

 チャンド選手はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、2015年に「テストステロンの値による出場停止」という規定を保留する決定が出ました。2016年にはリオ五輪に出場しています(100メートル予選敗退)。

「出られたことに感謝」

 アジア大会の100メートル予選後、チャンド選手の思いを直接聞く機会がありました。

 競技場での取材の仕組みはなかなか複雑で、記者たちが選手にインタビューできる「ミックスゾーン」は室内でテレビモニターもなく、チャンド選手が何位でゴールしたのかもわかりません。写真で確認したチャンド選手の顔を頭に浮かべ、見逃さないようにドキドキしながら待っていると、小柄な女性が見えました。インド国旗のマークが見えます。

 他にどの記者も来ることはなく、単独インタビューとなりました。「レースはどうでしたか」と尋ねると、「ごめんなさい、英語は苦手なの」と小さな声でちょっと恥ずかしそうな様子。「とにかく出場できたことがうれしいです。今までいろいろな人に支えてもらったから、お返しがしたかった」と、その英語で穏やかに話してくれました。

 裁判も経験したチャンド選手。辛かったですかときくと、「はい、でも、今日のために努力してきたから。決勝もいいタイムを目指します」と笑顔。控えめな性格なのが伝わってきました。

 性別をめぐる陸上競技の問題では、南アフリカのキャスター・セメンヤ選手も知られています。中距離で圧倒的な強さを見せる一方、他の選手から「女性ではない」などと発言され、性別検査をされました。2016年にリオ五輪の女子800メートルで金メダルを獲得しましたが、いまだにそれに異を唱える人もいます。

 国際陸上連盟(IAAF)は18年4月、400メートルから1600メートルの競技については、テストステロンの値が高い女子選手について、ホルモンを低下させる処置をとらなければ出場を認めないという決定をしました。

 セメンヤ選手はこの規定について、CASに提訴。覆らなければ、薬などでテストステロン値を下げないと東京五輪には出場できません。

 しかし、ホルモンの値で「女性でない」と決めることは、果たして正しいのでしょうか。

 実は、専門家の間でも意見が分かれています。

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最終更新:9/24(月) 7:00
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