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ツール・ド・東北2018開幕、初の仙台市発グループライドと松島湾クルージングが大好評

9/15(土) 21:24配信

Cyclist

 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部を自転車で走る「ツール・ド・東北2018」が9月15日に開幕、初日となるこの日は、新設された仙台市を出発する「仙台発グループライド&クルージング」と、「牡鹿半島チャレンジグループライド」、「奥松島グループライド&ハイキング」の3イベントが開催された。「仙台発グループライド~」には、村井嘉浩宮城県知事、ジャイアント・グローバルグループ最高顧問のトニー・ロー氏、自転車活用推進議員連盟から井上義久会長代理、ヤフーの宮坂学会長らを含め約60人が参加。復興中の海岸の横を走ったり、震災遺構を見学したり、チャーター船に乗ったり、バラエティーに富んだコースを体験した。



 午前8時、仙台市荒井のジャイアントストア仙台の前には、総勢70人のサイクリストが集まった。2015年に開業した地下鉄東西線の東側の終点の荒井駅周辺は、まさに復興中の地域。普段なら人も少ない時間、場所に朝から約50人の地元の観客も集まった。荒井在住の佐々木さんは「震災前は田んぼばかりだった地域にお店もできてきて、ここがスタートになって盛り上がってくれて、良いイベントですね」と新コース誕生を歓迎した。



 セレモニーでは村井県知事が「沿道ではたくさんの人が応援してくれていると思うので、走っていろいろ感じてほしい」とあいさつ。トニー・ロー氏、広報大使の道端カレンさん、河北新報社の一力雅彦社長、ヤフーの宮坂学会長ら総勢約70人の参加者が5グループに分かれ、スタートした。




 コースは仙台市の東部、若林区荒井地区に位置する「ジャイアントストア仙台」を出発し石巻専修大まで北上する約65km。スタート後、一行は市街地を通って、仙台市中心部を流れる名取川へ。初開催のコースにも関わらず、沿道のあちこちから、サイクリストを応援する完歓声が上がり、参加者も「ありがとう~!」と声をかけた。



 建物がなくなり、造成中の土地を横目に見ながらそのまま3kmほど下ると、河口に出ると、最初の休憩地点の藤塚展望台に到着。津波で松の木や港がなくなった海岸の上に、防潮堤を造成しつつある姿を初めて見る参加者が多く、それぞれの思いを語り合っていた。





 そこからは、宮城県が復旧を進めている自転車専用道路「仙台亘理自転車道」を利用して北上した。もともとは仙台市から南の亘理町まで全長43.6kmの自転車道だったが、震災で被害を受け復旧中。今回は仙台市内の9kmを特別に通行する貴重な機会となった。トニー・ロー氏も「とても美しくて、走りやすい道路。どんどん長くなってくれれば良いですね」と高評価した。





 途中、最初のエイドステーションとなったのは、震災遺構として保存されている「仙台市立荒浜小学校」。震災当日320人が校舎内で津波から身を守った場所だ。津波が直撃して曲がったままのフェンスや、黒板が流された教室の前で説明を受けた。そして震災前の街並みを再現した模型には、それぞれ住んでいた家族の名前が名札のように並び、かつてはそこに多くの営みがあったことが一目でわかるようになっていた。




 震災の記憶を胸に刻んだ一行は、再び仙台亘理自転車道へ。かつては松の木に覆われていたという、運河沿いの道を北上した。途中、造成途中の住宅地や、子供たちが元気に野球大会を行う景色を横目に見ながら、一般道へ。仙台港や多賀城を通り、塩釜港に到着した。ここからが、もう一つの楽しみとなる「松島湾クルージング」だ。定員300人の第二芭蕉丸に乗り込む。それぞれのバイクを1階で丁寧に保管してもらうと、サンマのすり身がたっぷり入った「つみれ汁」を食べながら、松島の絶景を眺めた。穏やかな湾内のクルージングを楽しみながら、地元グルメを味わえる体験は、今後も是非開催してほしいコースだ。





 約50分ほどのクルーズを終えると、奥松島の大高森で下船。ここからは昨年新設した「奥松島グループライド&ハイキングコース」と合流。奥松島の絶景とちょっとしたアップダウン、復興中の野蒜海岸沿いを走り、旧野蒜駅の「震災復興伝承館」に立ち寄った。





 ここでも、線路が曲がったまま駅舎だけ保存されている旧野蒜駅の様子や、語り部の方から、東松島市の被害状況や、復興状況についての丁寧な説明を受けた。ここから丘の上に新設された野蒜駅まで、この日最大のヒルクライムを体験。黄金に輝く稲穂を見ながら、石巻専修大にゴールした。




 この日家族4人で参加したという、佐々木安弘さん一家は「妻はロードバイクを始めたばかりですが、自転車道(仙台亘理自転車道)がとても走りやすいコースでした。クルージングやほかの人たちとも交流できたのも良かった」と話した。ヤフーの宮坂会長も「自転車専用道路がもっと長くなって、福島から青森まで東北を何日間で走る『ツール・ド・東北』にしたいですね」と今後の展望を話した。
※取材費用の一部をヤフー株式会社が負担しています。

最終更新:9/21(金) 14:55
Cyclist