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大坂なおみは日本人の中の日本人 全米オープンで見せた奥ゆかしさ

9/15(土) 11:03配信

東スポWeb

“なおみ狂騒曲”はどこまで続くのか。テニスの4大大会、全米オープン女子シングルスで日本人初の優勝を果たした世界ランキング7位の大坂なおみ(20=日清食品)が13日に帰国し、横浜市内で会見を開いて喜びを語った。新女王は笑顔で2020年東京五輪での金メダル取りを宣言したが、米国との二重国籍でハイチ人の血を引く背景や認識についての感想を求められ困惑する場面もあった。コート外でも大坂への注目度が高まる一方で、ある行動が“日本人の中の日本人”と話題を呼んでいる。

 凱旋会見には61社157人の大報道陣が駆けつけた。大坂は日本でやりたいことについて「原宿に行きたいし、東京ドームの(隣の)ジェットコースターにも乗りたい」と無邪気に話した。2年後の東京五輪に向けては「とても楽しみ。もしプレーすることができるのであれば、狙うのは金メダル。それを目標にして頑張りたい」と誓いを立てた。

 一方、英語で行われた会見では「日本語で答えて」「勉強法は」などの質問も飛んだ。大坂は日本語の会話は十分ではないため、通訳に頼っている。さらには外国人記者から、米国との二重国籍で父親の出身地ハイチの血を引くことに「いろいろな国を代表していることをどう思うか?」と問われ、「そのような質問を受けて、ちょっと(頭が止まって)凍ってしまいます。自分は自分」と困り顔で返す場面もあった。日本に生まれ、日本人の母を持つ。米国暮らしは長かったものの、日の丸も背負って戦ってきただけにどう対応していいか迷っている様子だった。

 それだけコート内外でシンデレラガールに対して世間の関心が高まっている証拠でもあるが、むしろ大坂は“日本人の中の日本人”と脚光を浴びている。元女王セリーナ・ウィリアムズ(36=米国)と戦った全米オープン決勝(8日=日本時間9日)でのことだ。日本テニス協会の倉光哲理事(74)は「チェンジコートの場面で大坂のほうが2、3秒前に通過できるのをセリーナが来るのを待って先に通した」とし「日本人特有の奥ゆかしさを世界にアピールした。素晴らしい」とたたえた。

 テニスではどんなに実績や知名度に大きな差があっても、コート上では対等との考えがある。引いてしまうと「勝てなくなっちゃう。相手は上から目線になる」(倉光氏)と弱腰の印象を与えるからだ。

 象徴的な試合が1988年ジャパンオープンでの、松岡修造VS“悪童”ジョン・マッケンローの一戦だという。「チェンジコートするとき、審判の前の細いところを同時に通過した。そしたら肩がぶつかり合った。マッケンローは通過した後、振り向いてずっと松岡をにらみつけていた」(倉光氏)

 元世界ランク1位のスーパースターを目の前にしても、一歩も譲らなかった松岡氏の闘志は今でも語り草になっている。大坂の場合は、松岡氏とは真逆でセリーナより数秒早く通過できたのにしなかった。倉光氏はこれを「非常に奇妙な光景」と表現しつつ、憧れの人が対戦相手になってもリスペクトを忘れない、これぞ日本人らしい謙虚な姿だと大絶賛したのだ。

 大坂は凱旋試合の東レ・パンパシフィック・オープン(17日開幕、東京・アリーナ立川立飛)に向け「よいプレーができれば」と決意表明。その上で年間成績上位8人で争うWTAファイナルズ(10月21日開幕、シンガポール)出場を見据える。全米制覇に続く快挙に向けて「年末まで頑張ってトップ5に入りたい」とさらなる快進撃を誓う。

 4月のフェド杯で日の丸を背負った際には「日本代表として日本の地でプレーできるのが幸せ」と話していた大坂が、今後も日本代表の誇りを胸に戦っていくことに変わりはない。

最終更新:9/15(土) 11:06
東スポWeb